図面に出てこない不具合の元
時速315キロで走っていた「はやぶさ」と「こまち」の連結が外れるというセンセーショナルな事故が起こった。
事故原因が東日本から報告され、「おお、もう」である。
曰く、連結器の強制解放スイッチの回路に、この車両を組み立てたときの板金工事の切りくずが接触してショートした。
「そんな馬鹿な」
「真因が判らないから適当に嘘言ってるんじゃないのか」
ちょっと形式は忘れたが、JRの前身である国鉄は昭和30年代、紙たばこのパッケージに使われていた銀紙が冷却ファンから吸い込まれて制御回路に侵入、誤動作を起こすという「んな馬鹿な」故障を起こしたことがあるのだ。「確率的に起こりうることは必ず起こる」とはアインシュタインの言葉だが、起こりうる最悪のシナリオを想定して潰しておくことは設計・製造段階で極めて重要であることを改めて思い知らされる。ちなみにこの辺を網羅的に潰して行く作業を「FMEA」(Failure Mode and Effects Analysis)と言う。ただ本件では設計図には「こういう風に機器を配置し、配線せよ」という書き方であろうし、工事の作業図は「ここを切ったり穴を開けたりしてこのネジで組み付けろ」という表記であっただろう。切り子の与えるリスクや処置の方法などは見落とされた・見過ごされたと考えてほぼ間違いない。保安機能を左右する電気機器を大量に組み付け、その配線がむき出しになるような場所で、無管理の金属屑がコロコロしている……「電気屋」なら気が狂うが「作業員」ではその恐ろしさに考えが及ばない……作業は出来ても電気に関する知識は無い……いやいや普通にありうる。現にウチの工場でも「プラスとマイナスが決まっている部品」(電解コンデンサ)を逆に組み付けて通電試験でぶっ飛ばす事故がちょいちょい起こる。「組み付けろ」と言われたので「くっつけりゃ」いいのである。なお車載品の工場では「ちゃんと作らないとこんな事故が起きて人が死ぬ」と教育するそうな。
「どう作るか」「何を作っているのか」
だからマニュアル通りに手を抜かず。
他山の石として。今日も一日ゼロ災ヨシ。
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