津波の必要十分条件
「大きな地震が来たら津波に注意しろ」は今更知らぬ者はないであろう。大地震は津波の「十分条件」と書いて良いのでは無いか。一方。
今日9月24日。唐突な津波注意報に面食らった方は多いことだろう。「震度1以上」を感じた(=人の住むところで揺れた)ところはないのだ。
そして実際津波は来た。これは何度も書いておくが50センチを侮るなかれ。時速30キロくらいで50センチの水の壁が来る。「流れるプール」を逆らって歩けるか?あれの15倍からの速度で海から来る洪水が津波だ。
さて今回のこれ一応M5.9(のちM5.8/深さ19km)の「地震」とされているが、
伊豆諸島の鳥島近海に位置する直径約8 kmの海底カルデラ火山・スミスカルデラでは,おおよそ十年間隔(1984年・1996年・2006年・
2015年・2018年)で地震マグニチュード5–6程度の特異な火山性地震が繰り返し,地震規模から経験的に推定されるより大きな津波を引き起
こした(以降,「鳥島地震」と呼ぶ)
まぁ、これの「2024年版」でしょう。このことは、地震=津波の直結思考は正しい認識だが「地震じゃないから津波は来ない」は正しくない。津波を起こす「必要条件」は地震に限らない、と言える。
●噴火に伴う「気圧変動」で津波
(ソース)
前にも触れたトンガの海底火山。厳密に言うと音波・気圧変動・海面の各「波動」と「共振」が絡んでややこしいのだが、海底火山の起こした海中と空気の振動で津波に至ったパターン。
●島原大変肥後迷惑
寛政4年、雲仙普賢岳で地震が発生、眉山が山体崩壊を起こして海中に突入。これに伴って津波が発生し、対岸を襲ったもので、江戸時代の夜8時ではなすすべなく1万5千人が亡くなった。もちろん、地震を伴わず「海沿いの山が崩れる」というのはある。
●津波地震
昭和8年に起きた「昭和三陸地震津波」は地震自体は震度5レベルだったものの、津波自体は20mに達した。隣のプレートで起きた地震なので、日本の陸域に伝わった振動は少なく、しかし海底の地殻変動自体は大きなものだったので、津波だけは大きくなった。こういうのを津波地震とかいう。慶長地震(1605年)も千葉から九州まで津波が襲っているが、地震被害はない。類例と言われる。
このほかに隣のプレートどころかほぼ太平洋の反対側、南米チリ沖で起きた巨大地震でも日本に津波が来る。30時間前に地球の裏側で起きた地震で大津波が来るとか、昔は知るすべも無かったであろう。
列挙した事例は「どこで何が起きたか」をデータとして捉え、瞬時に手のひら端末へ警報として届けられる現代、避けられる災害になっている。「地震無かったのに警報とかおかしくね?」ではなく、こおゆう事案が生じた可能性を思い起こし、避難行動に繋げられたい。
あなたとあなたの大切な誰かを守るために。
« 出くわしたのは過去3回 | トップページ | 感動しないおっさんたち »
コメント