ロマンだけだよ
年に数回この手の記事を見かける。あーすればこーすれば……NONONO。
新幹線や飛行機で夕刻~夜間に現地入りし、ホテルに泊まる。
これ以上のコスパが提供できるか?はい論破。
寝台料金が6600円から。もうこれだけで重いハンデ。ビジホなら同じ金額で風呂とベッドと朝メシとエッチなビデオが付いてくる。
「サンライズ」シリーズが生き残っているのは、島根鳥取・四国が新幹線を使ってなお遠く、航空機の便も今ひとつだからである。特に「~出雲」に関しては、鳥取・米子・松江・出雲が並んでいて、順次止まって行く=列車と相性が良いという側面もあろう。裏返せばよほど条件が整わないと成立しない「ニッチな存在」に成り果てている、ということだ。ちなみに「サンライズ」は東京発下りこそ21:50発で各地に朝に着いてベストだが、上りは出雲市発が18:57とどっちか言うとウンチである。その代わり22:34岡山、てっぺん回って0:33大阪でも客を拾い、7:08に東京に着くので「最終新幹線に間に合わなかった」上京者にはそれでも翌朝東京に間に合うダイヤになっている。下りも上りも「需要がありそうな」と書ける。
この夏長野県内の登山客を意識した夜行臨時列車「アルプス」が運転されて話題になった。早朝の駅から登山、という猛者筋には個室もベッドも要らない、目覚めたとき山が見える駅に着いていれば充分だからである。ちなみにこの場合「上り列車」は設定しづらいが、今夏のアルプスは終点白馬から大宮まで回送されたそう。あー勿体ない。臨時の新宿行きなり横浜行きなりにしとけば無駄が無いのに。
無駄と書いたが夜行列車には運転する鉄道会社側もコスパが悪い。良く書くが新幹線「のぞみ」は16両編成で1323名である。東京ー名古屋間で1万円かかるので、3分おきに1300万円が時速285キロで走っている。これが100分走ればお金分の仕事をしたことになる。一方寝台車で「詰め込み」を考えると、往年のB寝台は3段ベッド×20区画で1両に60名輸送できる。ベッドはカーテンで仕切るだけ。便所洗面所2カ所ずつである。15両編成に組んで900名。夜っぴて8時間走ってようやくお金分の仕事完了。但し朝着いて夕方出発までは車庫でヒルネ。その間に車内清掃とリネン類の総入れ替え。
昔は実際そんなだったが、現在はプライベートとプライバシーとセキュリティからそんな詰め込み寝台車はまずムリ。だからって個室となると1両で20名がやっとなのでは?(サンライズは最大16名)。8時間走らせて儲けが出るような料金設定を考えると?
寝台列車の「魅力」は寝ている間に移動できること、そして、通常の移動ではあり得ない時間にあり得ない格好であり得ない場所にいることだ。「トワイライトエクスプレス」がウケたのは日本海に沈む夕日を見ながらフレンチが食えるからだし、「北斗星」が満員だったのは夜中の2時とかに浴衣を着て青函トンネルを通過したりするからだ。それは「非日常」を楽しむ行為でありすなわちロマンである。個人的には東京を深夜に出て目が覚めると三陸に昇る朝陽が見られるとか、三陸へのアクセス性も考えるとアリだと思うんだけどね。
ロマンにリピーターは付くのか。
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