デンキジドウシャの立ち位置
えっとね。
原動機のエネルギ源としてガソリンが優れているのはまずその「空燃比」にあるのですよ。すなわち、ガソリン1gに対して空気14.7gが必要というか、ある出力を得るのに自分が持ってけばいい燃料は約1/15で良いと書けばいいか。デンキは必要なエネルギ源を全部もっていないとならない。すなわち満タン50リットルのクルマは比重0.7として、液体35kgと空気514.5kgを同時に持っているに等しい。
テスラモデル3。5人乗り。大体カローラと似たような寸法ですわね。但し質量1800kg。なんとミニバン「NOAH」(1600kg)より重い。
カローラフィールダー+電池450kg!電池の質量がガソリン+空気と大体同じと言うことにお気づきと思われる。「燃料を運ぶのに燃料を食う」これが現状の電池の能力・電気自動車の現在地、と言えるのではあるまいか。
「電池」こいつがキモであることは自明である。「1kgの燃料で1時間ぶっぱ出来る出力」をエネルギ密度という尺度で表す。
・ガソリン:12000Wh/kg
・リチウムイオン電池:370Wh/kg
・全固体電池:1440Wh/kg
今全世界で我先にと開発・実用化が進められているのが「全固体電池」である。見ての通り現在主力ですべからくスマホに入っているリチウムイオン電池より3倍の密度を持つ。それでもガソリンとはヒトケタ違うが、例えばテスラに積むなら電池質量を1/3にできる。電気自動車は元より原動機の質量は軽くて済むうえ、ガソリンには絶対出来ない走行エネルギの再利用「回生」が効く。ガソリンエンジンだと必要な物さっ引くと、全固体でようやく渡り合えるスペックに達するのが見て取れる。
ただ。
全固体電池実用化されたとしよう。テスラ3の電池容量は54kWhだそうな。充電するのにどのくらい時間がかかるか。家庭用に設置可能な充電器でひねり出せる電力は200V15A。3kWである。充電に要する時間は単位を見れば分かるように54を3で除せば良い。18時間。ファーw。まぁ常に空腹充電するわけじゃないので「時々、徹夜充電」という使い方になろうが、明日遠出だから充電しておかなくちゃ。停電するかもしれないから前の晩からやっておこう……その他気配り気遣い気がかりは「でかいスマホ」と書けば良いか。そう、ひょっとすると電気自動車普及の最大の心配点は、我々がスマホに対して時々困る「あれ?こんなに減ってる」「充電できてねぇ」がクルマにも起きかねない……というあたりじゃないのか。
ちなみに電気自動車最大の敵は「渋滞中エアコン使用」だが、それは断熱性や遮熱性の向上もセットにしないと「心許なさ」は残るだろう。金属とガラスで出来た物体で熱流を阻止する構造を持たせるのは容易なことではない。
まだ早えな。
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