二酸化ケイ素礼賛
「ダイヤモンド欲しい」
「ハンズで標本用の売ってるから買ってこようか?」
「殺してもいい?💣」
さておき。
地球の主たる材料・構成物質は「ケイ酸塩」である。ケイ素すなわちシリコンとこれを囲むように結合した酸素原子4つで構成される基本パーツであり、他の金属原子と結びついて各種の岩石を構成する。太陽などの恒星は自らの重力で内部に高温高圧の環境を形成し、核融合反応を起こして光っているが、これが水素→ヘリウム→ベリリウム→炭素→酸素→ケイ素→ニッケル→鉄と作り出していって、超新星爆発で宇宙空間に飛散する。すなわち「普遍性の高い」元素同士で出来ていて、量も多い。となる。そしてお気づきの通り、地球を構成するケイ酸塩は、太陽系の生まれた46億年よりも前に宇宙のどこかの星で核融合により生成され、超新星爆発でぶっ飛ばされて宇宙をさまよい、太陽系の生成に伴い取り込まれたモノだ。
二酸化ケイ素すなわち水晶はシリコンと酸素原子2つで構成され、ケイ酸塩の特殊なバージョンと言える。ただ特殊とは言えケイ素の全体量がすごいので、二酸化ケイ素自体は珍しいモノではない。ないが。
結晶すると透明感を備えるとかなかなかエモいではないか。宝石という言い方は嫌いだが、最も安価な宝石という見方も出来る。
ただそう。そんなわけで遙かな時間と空間を経てこの星の一部をなし、超高温を経て万年の単位で結晶に成長するものであるから、不格好非対称なそのありのままが愛おしく、このような人工的な生成物にはあまりこう、感情を揺さぶられることはない。ちなみにこの手の人工水晶の主たる用途は「クオーツ時計」等の発振子である。
とはいえ、人工的なケイ素こそは半導体そのものであって、人類を支えている。これは「IGBT」という半導体素子で、ワイヤの下で光っている板状のものこそは半導体用単結晶シリコンである。シリコン半導体の塊であるマイクロコンピュータは水晶によるクロックを基準に動いており、情報通信電気科学文明を「地球で最も多い元素のひとつ」で形成できたことは、人類は恵まれた・祝福された生命と言って過言ではないだろう。
黒水晶。モリオン(morion)。ケイ素が一部アルミに置き換わり、そのアルミが放射線を食らって光を吸収する性質を備えたもの。
何十億年も前の昔、どこかの星で生成されたケイ素が超新星爆発で吹き飛び、長い時間と距離宇宙空間を漂い、太陽系を生成する重力に捉えられ、微惑星の一部をなしてぶつかり合い溶け合ってマグマオーシャンを形成し、その中で酸素と出会い結びつき、46億年をかけて地球を巡りながら徐々に冷えて万年かけて結晶となり、何なら放射線ブッ食らってその姿を変え。
令和の現在名古屋でおっさんの手で弄ばれている。その長い長い旅路と温度圧力放射線に晒されたありのままが、この不格好な立体造形物に文字通り「結晶」している。
ありのままこそが宝物だ。
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