良くも悪くも話半分
バヌアツで地震が起きると「バヌアツの法則」なる言葉がSNS上に出てくることがある。曰く
「バヌアツで大きめの地震が起きると2週間前後で日本でも大きな地震が起きる」
というもの。2012/3/14の三陸沖、2016/4/16熊本地震、2018/9/6胆振東部地震、2021/2/13三陸沖などがそれだ……と言われる。
これをホンマカイナと「f検定」を試みた人がいて、関東大地震(1923/9/1)以降2011年までで見てみると、「大地震」と言われるM6.5以上はバヌアツで92回、日本で386回。検定の結果は「否」。
まぁ、「あっ!」と思った人は多いことでしょう。バヌアツより日本の方が遙かに大きな地震の回数が多い。日本→バヌアツよりバヌアツ→日本となる率の方が高い。
で、2011年で切られているのは言わずもがな東北地方太平洋沖地震(2011/3/11)以降大きな地震が増えているから。
2005~2010 12回
2011~2016 28回
2016~2021 6回
2022~ 7回
上記「それだ」のうち二つの三陸沖も東北地方太平洋沖地震の余震活動である。「たまたま2週間前後」になる確率も上がるでしょうよ。でもごっちゃにしてもねぇ、という。
関東大地震を「予言」した今村明恒は、古文書から関東で起きる大きな地震の間隔を「50年から100年ごと」とし、安政江戸地震(1855)から50年経ってるぞ……と警鐘を鳴らしたのが始まり。最も彼は文献から拾っただけで、関東大地震・南海トラフ・三陸沖・関東直下のプレート内地震を区別していない。その点でこの「法則」騒ぎとあまり変わらない。ただ彼は100年前の人物。地震の詳しいメカニズムなんか分かっていない段階で見つけたのは立派とすら言える。ただ、この「法則」は現下の知見と統計論から言いつのることはチト厳しい。
「バヌアツで起きたから」ではなく「いつでも起きうる」として備えておく方が正しい対応でしょ。はい次。
« で、ナニを作ろうか | トップページ | シーラカンスの日 »
コメント