直下型を生き残るには~兵庫県南部地震30年~
携帯に飛んでくる「緊急地震速報」がこの地震を機に急速に整備されたのをご存じの方は多いと思う。「初期微動」をもたらす「P波」と「主要動」をもたらす「S波」には進行速度に差があり、到達の時間差から「いつ、そこへ地震波が届くか」計算して出されるものだ(構想自体は昭和50年代からあった)。
さてこの理屈から分かるように、速報を出すにはPとSがある程度時間差を置いて届く位置に地震計が存在してる必要があり、裏返して時間差がない場合……直下型の場合「地震が起きた後に速報が出る」ことが起こる。
これはウェザーニューズが地震発生から主要動到達までの時間を計算したものだ。速報システムは令和の現在どう頑張っても5秒はかかるとされ、明石や淡路島北部では「間に合わない」。神戸では「5秒前」くらいであったと考えられる。
関東に住んでいたので「直下型」の経験は多いが、最も至近で起きたのはこれであろう。2014年11月22日。長野県北部地震。マグニチュード6.7。最大震度6弱。この瞬間、震源白馬村から25キロほどの信濃大町の温泉宿にいた。布団に入っていたところ、地鳴りがし、地震と認識した瞬間には大きな揺れに見舞われた。携帯には揺れが始まって10秒してから警報が届いた。信濃大町震度5弱。当該旅館は30秒ほど大きく揺れ、数分停電した。特段の被害はなかったが、近隣の旅館では割れたガラスでケガをした宿泊者がいたようで救急車が来ていた。それは安全なところに身を隠して~などと「考えて・行動する」時間を与えない(当日の自己記録)。
さてこれは大阪管区気象台が波形から再現した当日の地震動である。数多UPされているコンビニの監視カメラ画像等の「横に大きく動く」が再現されていると思う。これが警報より早く、あるいは「わずか5秒後」に襲う。この震災で建物の耐震性は強化され、令和の現在おおむね、揺れで倒壊の可能性自体は減少していると思うが、それでも「身を守るためのアクション」が必要な家庭は多いことだろう。しかし直下型はその「アクション」の時間さえくれない可能性が高い。特に就寝に際しては「最初から安全な場所」で寝る必要を要求する。転倒防止、突っ張り棒、etc。だが畳であったり、突っ張り棒が天井の梁に当たっていないなどの場合、これらは上手く機能しない。そういう場合どうにもならないのか?
これは自分の鉄道ジオラマであるが、白いアングル材を組んでその上に設置している。天蓋とまで言わぬが、こいつで寝床を覆ってしまえば倒れてきた物に潰される可能性は減少する。太い奴を選んで組み立てれば良い。部屋に設置するには不格好かも知れないが死ぬよりいいだろう。
安政東海・南海地震1854-90年-昭和東南海1944・南海地震1946-80年ー2025年
それは歴史の彼方の出来事でも、遠い未来の出来事でも、何でもない。「我々が死なないこと」これが6434の御霊に対する最大の報い。
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