オーディオフェスタinNAGOYA 2025
今年はいつもの会場が工事で笹島に引っ越し。しかし何かこうパネルとか「映える」もん貼れや。
●デノン
スピーカーは803D4で固定し、出力を往年の名機SA1シリーズと令和最新型「びびっど&すぺいしゃす」(←仮名で書くなよ)3000シリーズで聞き比べ。どっちも「アルファプロセッシング」と「UHC-MOS」だが、前者は1.5MHz/32bit、後者は1段アンプでデジタルヴォリュームになっている。
SA1
・大河ドラマ「軍師官兵衛」OP。SA1っちゃ当時評論家各位ベタ褒めの名機だったが、今聞くと雑でざらざら。ぼけていて、弦も管も丸い。原音とは多分程遠い(ひでぇ書きようだなオレ)。
・テイラー=スイフト/「曲名失念」。締まった低音はいいが上の方がスパッと切れてる感が。張り詰めた中高域が張り出してくる。この高域をせり出してくるのは解像感の演出に効き「メリハリのある」という印象をもたらす。でも今聞くと硬くて不自然。
・コーネリアス/「ドロップ」。典型的な切れ味のPCM。ただちょっと音の輪郭に増幅系が間に合っておらず破綻を感じる。
3000
・ドロップは一聴して前後左右に広がってクリアだぜ。聞き慣れた令和サウンド。B&Wのミッドレンジに感じる「1枚シルクを纏った」感もなくダイレクト。包囲感があり、低域の締まりも強い。
・テイラー=スイフト。セパレーションがナイフの切れ味を備えたと書けるか。デジタルなのでチャンネルセパレーションはあまり変わらないはずだが、出てきたアナログ信号に歪みや時間軸のブレが少なくなったと言うことだろう。
・官兵衛。管がスムーズに流れ輪郭のざらざらもない。惜しむらくは弦が固まって(塊になる。1本1本の弦に分離しない)聞こえることだが、録音か。
●TAD
ME-1「TX」お披露目。デンキはそのME-1TXも名を連ねる「Evolution」シリーズC1000/M1000で構成。
さてME1の持ち主としてはドコが違うんじゃいと言うところだが、キモであるCSTで音響ビームを発するベリリウム振動板は鍛造から蒸着に進化。「いかにも金属な響きが減少した」との説明。ミッドレンジはピアノ曲でアタックに鳴きを伴うことがあったとか。酸化防止を陽極アルマイト化し、更に塗装でコーティングし、グリルをメッシュに。さてその効能は果たして?
・演者失念、バッハ ヴァイオリン協奏曲第1番 (BWV1041)
弦が少し張り詰めて聞こえる。ただし、弓が弦を擦る音など仔細はリアルである。違和感はないが格段の進歩というわけでもないかな。
・坐音(ざおん)/「Mystery,So Long」和洋の楽器の混成フュージョンバンド。木管や雅楽器と相性良い。三角形の頂点で聞いていたが、ちゃんと域外定位を感じる。
・ピアノでニコライ=カプースチン、演者失念/「エチュード」(リンク先は辻井伸行)
CD音源なので音の輪郭が丸く聞こえる方が気になる。高音立ち上がりが峻厳なので軽い振動板には難しい(過剰に振り回される)そうな。
・ポルトガルのAntónio Zambujo/「O Sol De Azar」
ギターと男声。声の太さ、ギターの胴鳴り。スッキリした感じで出音する。
さて本日TADのシステムさんネットワーク再生不調で全部円盤なのだが、ここでEvolutionシリーズもCD入力を認識しなくなり、フラグシップのReferenceシリーズにチェンジ。
・デモディスク。香港の「原音精選」から少し。まず映画音楽で、太鼓と三味線が加わり破綻しやすい難しいソース。ただそれら楽器をまるで別音源で再生しているかのように鳴らしてよこす。
・同収録「ふたりオケ」チェロに多少のボン付きあるが、男の声の芯の太さみたいなもの良く出す。
●ヤマハ
NS-5000を出口とするオール5000のリファレンスシステム。但し送り出しはアナログでGT-5000。カートリッジはフェーズメーション(←決まり文句か)。スピーカーは先に出来たがアンプが遅れて他社品でデモしていたのは知られる通り。でも「このスピーカーはもっと出るはずだ」という開発者魂に基づき、「5000を鳴らすために」開発したのがセパレートの5000だそう。アナログプレーヤも趣味者が心赴くままに使う、ことを前提にベルトドライブ。トーンアームは反力制御をあえて行わず音溝中心に針が降りて、溝に誘導される力をそのまま生かした、との由。
で、ジェニファー=ウォーンズ(Jennifer Warnes)/Rock You Gentlyとか各種聞かせてもらったのだが。
針を乗せた瞬間からそれと判るサー・ズサーとしたノイズが乗るわけですよ。ノイズフロアが高いので応じて浅く、沈み込む静寂が取れず、音の末端が歪む。また、いくらPMのカートリッジが現代最新デバイスの塊であっても、セパレーションが今ひとつなのはどうしようもなく、定位感や広がりと言ったファクターはスポイルされる。なのでちょっとネガティブな言葉並ぶので以下省略。NS-5000自体は悪かないのよ。無色透明を地で行くキカイで、機器の組み合わせを工夫して、デンキカイロの出したい音を出させることができるでしょう。
●アキュフェーズ
こういうのを「王道」という。DP-770→E-800S→801D3。音が容易に想像つく?ぎゃふん。まぁそうでしょ。開演待ちの事前チェックでちょろ出ししただけでデュフフとか声出ちゃう。前に聞いたのがアナログだったので余計。それはある。800Sはマイナチェンジじゃないよ、ケミコンもトランスも見直してSN比1dB改善してますよ、とはエンジニアの弁。
・ジョー=ファンズワース(JOE FARNSWORTH)/New York Attitude 。静粛でスムーズ。無理がないが強い。音に埋没できる。服に触れてる指先に振動が伝わる。瞬発力が高く力がある。コントラバスの胴鳴りも、ぶるんぶるんとしてピタリと止まる。定位はスピーカーがでかいので面で決まる。ずばり「これが俺の求めるオーディオだ」って人多かろう。一般にこのレベルの音聞いちゃうと他が色あせて聞こえてしまい、我慢が出来なくなる。
・演者失念、展覧会の絵/キエフの大門。ストレスも歪みもなく広大で深く無垢で静謐(そこまで言うか)。煌びやかなブラスとトライアングル。フォルテシモでも埋もれない弦楽隊。こけおどし的な迫力はないが、ノイズレスなので大音量でもうるさく感じないだけ。部屋の空気を揺り動かして音楽に埋もれていられる。
・キングシンガーズ/白雪姫より「いつか王子様が」(King's Singers/Someday My Prince Will Come (From "Snow White"))
男性6人アカペラユニット。二等辺三角形の頂点で聞いているが、声はスピーカーを結ぶ線より奥手に定位。音質さえ良ければ「音を聞き惚れちゃう」ので鳴ってるものなんでもいいんだなみたいな。
・小林愛実/ショパン「幻想即興曲」(op.66)。ピアノはレガートだが、ちょっと、ちょっとだがアタック(カリカリ感)足りねえんだよなぁ。A級のせいかと思う。揺れ動く右手左手間が目に見えるようだわ。
・スリーサム(threesome)/MyFavoriteSings。定番のジャズアレンジ。珍しくクリアなピアノを聞かせる。弦のつまびきなどカリカリでよろしい。この速度と序破急の快楽。アキュフェーズくさいというよりB&Wの実力を発揮させる黄金比とでもいうか。多分、なのだが、B&Wのシステムは回路が噛みついて振り回すじゃ面白くなくて、ある程度手綱を緩めて好き放題鳴らす部分を残しておくと良い結果が得られる。今回アンプE800Sは純A級で、AB級の5000に比してちょっとトロ味がある。それが801D3に自由度を与え、いいバランスで鳴っているように感じた。
●ラックス
アンプを507Zに固定し、スピーカーを前半AriaEvoX2/後半ソプラ2と変えて鳴らす。先に総括書いておくといわゆるラックストーン、飴色はほのかに残しつつも、現代的なスピーディで切れ味のある音の印象強い。
・石川さゆり/あさばな。レコード。うーん、デモで掛けすぎかな?浅くてギザギザ。ボーカル自体は明確だわ。声帯の使い方が見えるよう。ただ、ノイズステージが高いので狭さがある。
・オスカー=ピーターソン(OscarPeterson)/You Look Good to Me。96/24。コントラバスとトライアングルが前に出てきていい感じ。楽器の位置と鳴り方に気持ち悪いほど実在感がある。三角形の頂点で聞いているが、ドラムは左方に域外定位。太い弦のぶるんぶるん感はスピーカーサイズから想像が付かない大きなスケール。
・リサ=バティアシュビリ(Lisa Batiashvili)/ショスタコビッチ「叙情的なワルツ」。リサは評論家の麻倉さん激推しの方ね。深みと響きが気持ち良い。コクのあるコーヒーのようだわ。ホールトーンに包まれて眠くなりそう(エンドルフィンどぱー)。
スピーカーをソプラNo2にチェンジ
・アスカ/「はじまりはいつも雨」。ステサンのリミックスレコード。わー昭和な音だー。ボーカル定位は少しあいまい。ベールかかった感ありクリアとは言いがたい。ただ、「昭和の音」は出ている。あの時代こんな音だわ。
・ArtPepper/You'd be so nice to come home to。192/24だが元音源古くステレオちゅうかマルチモノラル。サックスの張り上がる音にちゃんと追従。ただ耳に刺さって来ないあたりラックスなのかなと。一方でこの音聞かされてラックスと即答できる人はおらんやろ。そのくらいスピードも切れ味も出ている。
・演者失念/ラフマニノフ「ピアノ協奏曲第1番嬰へ短調」MQA-CD。ピアノが若干金属的(ピアノ線とは何だ)なのと、弦が抜け不足ある程度であとはまあ。音は良いが、SACDやレートの高いハイレゾ音源のような「これがハイクオリティだ」感はイマイチな。
●TEAC
小型セパレートでクロック同期運転ができる「507」シリーズで、イヤホン界隈ではおなじみ「クリプシュ」の小型3way「Heresy IV」をバイアンプで鳴らす。「値段が上がりすぎてる昨今オーディオ業界で間口を広げるために」507シリーズを開発した、のだそうだが、が。
このスピーカー、ヴォーカルちゅーか「ダイアローグ」に重きを置いた設計のようで、上述「King's Singers」みたいな声だけなら破綻はないが、普通の楽曲鳴らすと「何てクラシックな音なの」に集約される。能率は高い(98dB)そうだが、俊敏に動き出して制動されないのかアンプの力不足か音の輪郭の破綻が見られ、そのなんだ、アキュフェーズ→ラックスマンと聞いてきてこのクオリティで聞かされるのは厳しいかなと。なのでここも以下略。こいつはそれこそアキュフェーズみたいなダンピングファクタのバカでかいアンプでガッチガチに噛みついてねじ伏せるくらいしないと21世紀のスタイルで聞くのは難しいかと。
●まとめ
ハゲ(ワイ含む)と白髪があっちへうろうろこっちへうろうろ。女性は3人見かけた。未成年は1人だけ。よく書くが「スマホとイヤホンさえあれば完結する」環境で、高くてデカくて重くて結線も操作もややこしいオーディオコンポーネントをどうやって売り込むのかって話。「聞けば判る」のだが、画面ずっと見ててイヤホン外さないから「聞いて」の声は届かないのよw「つべのブックマークをタダで聞く」じゃ到達できない世界の存在をアーティストと一緒になって訴求しないとダメ。それでも音質なんか興味ないと言われるかも知れんが。
印象に残ったのはアキュフェーズ×801D3。何だこの完成度は。総額1千万近いと言えばそれまでだが、「黙らせる」レベルに到達している。買えるなら手放しでオススメ。近隣にオーディオ専門店ある方は記載の組み合わせで聞かせてもらいたまえ(何で偉そうなんだよ)。
TAD ME-1TXはME-1無印の持ち主としては「そう思ったほど差はないな」というのが正直。最も、自室ではE-470のレベルメータが-40dBを時々振れる程度の音量しか出してないので「訴求内容」が伝わらないだけかも知れないが。しかしワイが買ったタイミングは令和の値上げ暴風前で、ペア1メガは「卓越のコストパフォーマンス」とか言われたが、TXになって1.73メガ……E2が視野に入るじゃんか。
それとこの会場「一時的」なのは判るけど、貼り付けたスクショの通り「一部屋二社交互使用」なので、聞き逃すと次のチャンスが少ないので忙しいったらありゃしない。↑これだけ回って6時間だぜ。そしてそう。飯を食う・買える場所もスペースもない。ナニが悲しくてコンビニサンドイッチを5分で立ち食いせにゃならんのだ。イベントスケジュールのアップも遅かったし、何ならラックスの14時は現場の予定表に出てないとか運営ひどい。反省して下さい。
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