e-POWERという奴
ホンダ×日産が破談になったニュースでまことしやかに流れてきたのはホンダが日産のこれをコケにしたという話。
日産のハイブリッド駆動システム「e-POWER」
エンジン出力は全て電力にして、モータ動力だけでタイヤを回す。鉄ヲタ向けには「電気式ディーゼル」と同じと言えば事足りる。
すっかり八王子のヌシに居着いたJR貨物DD200形。V12気筒30000ccスーパチャージャ付き。これで895kW(1217ps)を発生し、160kWの電動機を4機駆動する。原動機895→640kW実出力だから変換効率71%。機械伝達ロスと電気変換ロスを考えれば上等じゃないのか。車重は59tで、前任のディーゼル直接駆動「DE10/1250ps」の65tより軽い。他にも北海道と名古屋、「ななつ星」牽引用に九州にいる大型機関車「DF200」や特急「ひだ」など、鉄道のエンジン動力車は発電+モータ駆動へ一斉シフトの「雪崩」状態である。
当然、メリット>デメリットだから採用が増えている。簡単に言うと1000馬力と応じたトルクに耐える変速機もドライブシャフトも不要になり、発電ブレーキ電力回生でエネルギを一定量「回収」でき、それを蓄電しておいて発進加速や登坂などパワーを要する場面でエンジン+バッテリの二重供給ができる……などである。エンジンはパワーが必要な時は最大出力点で、一定出力時は最大効率点で回っておればよく、要求される条件は全てがエンジンにおんぶに抱っこのシステムよりはかなり楽になる。
比して日産のそれは同じ仕組みなのにいい話を聞かぬ。何故だろう。日産「AURA」
車重1270キロでエンジン出力82ps(60kW)で電動機出力は100kW。燃料タンクは36リットル。公称燃費は市街地26.8km/L、高速25.8km/L。
?
トヨタ「ルーミー」1100キロでターボ付き98ps(72kW)。36リットル。市街地12.7、高速16.8。
日産のe-POWER説明を読むと、バッテリには高速走行中に充電するそうな。市街地モードより高速走行の燃費が悪いのはそのせいか?にしたって充電し続けてるわけじゃあるまい。
および、個人的に気になるのはエンジンよりモータ出力の方が大きいこと。エンジン+バッテリで100出せる、みたいな意図だと思うのだが、定速走行するのにその半分も電力食わない。そう、明らかに使ってる電動機が過大で応じて重い。同期機だからベクトル制御でトルクと加速率はある程度稼げる(ひねり出せる)はずで、「モーターを運ぶのにガソリン食ってる」状態に陥ってる可能性が高い。(簡単に言うと設計不良である。品質工学に真剣に取り組んでたのとちゃうか日産は、あ?)
ちなみに、鉄道車両の場合鉄輪+鉄軌道なのでここの摩擦係数が小さく(μ=0.4)、ある程度加速してエンジン切っても、数キロは速度がそんなに落ちずに走り続ける。自転車でも漕ぐの休んでもある程度走るでしょ?同じ。言い換えるとエンジンは上り坂でも無い限り「動かしたり止めたり」を繰り返すので、応じて燃料の消費は少なくて済む。しかもバッテリ併用だからエンジンが所定の回転数に上がるまでバッテリ電力でモータを回してエンジンを「待つ」ことができる。一方、クルマはゴムタイヤをアスファルトにベタッと押しつけて走っているのでこうはいかない。常にエンジンは使用する。摩擦と空気抵抗に抗うためにエンジンを動かす。しかし書いたように本来はエンジンの最大効率点+モータの最適励磁制御でその速度なりの最大効率で動けるはずなのだ。高速走行なら尚。シャフトもミッションもないんだし。
「仕組み」というより「使いこなし」に問題があるんじゃないのか。「技」を使いこなす「術」のことを「技術」というのだが。
おーん。
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