レビー小体型認知症の経緯と予後に関する書き留め(3)
●レビー小体型認知症に伴う「典型症状」の発現とその際どう対応したかの書き留め
■認知機能障害
①空間識失調
視界が止まっていない。ぐるぐる回るなど。抱えて「大丈夫です」といい、ベッドの柵などにつかまってもらってやり過ごす。収まるまでそばにいた。
②発音発声障害
吃音や不明瞭な発音など。待つしかないのだが、脳梗塞・脳出血などでこれが生じる場合もあるので、救急車を呼んだ(2回)
③仮面様顔貌
表情・人格が変化し、居場所・現状・家族を認識できない。会話は成り立つので「話を合わせた」。なお、数時間から半日で戻るが、全く覚えていないので蒸し返さないこと。多重人格の発現そのものである。
■パーキンソン症状
大きな震え(震顫)により何をするにもままならない。これが起きると大変なのは食事と排泄。食事は食器を使うのは無理なので、ファミマで細長い海苔巻き寿司を買ってきた。握って食えるから自力で好きな方法・タイミングで食える。ただ現在ファミマにこのタイプの寿司はない。
飲み物はお茶を持ち手の付いたストロー付きマグ
(この手の。ウチは娘が赤ちゃんの頃使っていたのが残っていて流用)に入れて利用。同じく自力でできる。
排泄は紙パンツ・おむつ。要するに「そのまま」を許容。なお、そもそも運動機能低下によって「催してもトイレまで間に合わない」場合が出てくるので、介護用下着は必須。
■レム睡眠行動異常症(RBD)
睡眠中悪夢を見て大声を出したり暴れたり。これは手足をぶつけてケガをしたり、ベッドから落ちたり等危険を伴う。心療内科と相談の結果「起こしてしまって構わない」とのことで、数回、それで対応。なおこれと認知機能障害が合体すると「自分の家に帰る」といって出て行こうとするので、SECOM等のセキュリティを導入して検知できるようにした(1回発動)。
■幻視幻聴
「そこに子供がいる!」等、視界にリアルな幻覚が現れる。見えると指摘した場所に行って自分が立ったり手を動かしたりする。この症状は多くの場合「よく見えないモノを脳が補完して適当に何か見せる」機能の暴走によるものであるから、その視界に入り込めば解除されて虚像は消える。「おったんだがなぁ」「病気のせいです。気にしないで」
■その他
傾眠傾向といってだんだん眠っている時間が長くなる。なおいびきを掻いて寝るタイプの方は、レビーのせいか「脳梗塞・脳出血」の影響によるモノか区別が付かない場合があるので注意。何か行動中に突然倒れ込んでいびきガーガーの場合は救急車を呼ぶべき。
■投薬について
ラメルテオン:入眠剤。傾眠傾向の結果昼夜逆転に陥る。その緩和。
ドネペジル:認知症に刃向かうメインの薬。「アセチルコリン・エステラーゼ阻害薬」……何のこっちゃだが、脳内の神経伝達物質「アセチルコリン」を分解しちゃう酵素の働きを抑える、によって、アセチルコリンを極力維持しよう、というもの。ただ、効く効かない、効果の大きさはかなり個人差がある上、副作用としてパーキンソン症状が強くなったり、リピドー亢進といって、要するに「言動がわいせつ」になることがあるので、投薬中は当人の状態を家族がよく観察し、それを医者と共有しながら投薬量をコントロールする、という使い方をする。
レボドバ:パーキンソン症状対応。パーキンソン病の薬そのものだが、震顫の発生メカニズムは全く同一なので使える。ずっと使っていると効果の持続時間が短くなってくるが、レビー場合ほぼ頓服的な使用なのでそこまで深刻になる必要はないだろう。
ランドセン:本来「てんかん」の薬。そのRBDによる身体の異常を抑制するのに使う。
あと1回書くかな。本人と家族が知っておくべきことと心構え、心理的な話。
(つづく)
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