あ、かもつでんしゃだ
……ったく、レールの上を走るもの何でも「でんしゃ」と言いやがって。電車ってのは客車が自走機能を備えたもののうち、電力を得て電動機を回して走るものを言うんだよ。貨物に至っては……。
貨物電車だw
鉄道は馬車の発展形で、轍に入って動きにくくなる→轍に板を敷け→板を敷いた専用ラインにしてしまえば良くね?で「レール」が誕生し、引っ張っていた牛馬をキカイにして「鉄道」というシステムが出来上がった。なので基本的に「人や貨物を載せたクルマを機関車が引く」のであるが、そのためには終着で機関車を反対側に付け直さなくてはならず、応じた設備とコストと人力を必要とした。これはそのうち「客車自体にキカイを内蔵すりゃいいじゃん」となって、
こういう自走客車が出来た。これは当初形式ホジ6014。後にキハ6400とされ、ディーゼルエンジン駆動車の形式名「キハ」はここに起源を持っている(キは蒸気動車の意)。で、電動機を積んだ奴はデンキで動くからデハとかモーターでモハと呼ばれる電動客車「電車」となって「列車」の代名詞的な存在になった。
のだが。
自走できる貨車という奴は国営鉄道で言うとディーゼルエンジンを積んだ「キワ90」という奴が数年運用されただけで実用化には至らなかった。これは貨物というのは輸送量も行き先も一定じゃないので、必要に応じて貨車の数を増減し、行き先で分けて、という使い方をする。現代でそれはコンテナで実現している。それこそ「電車」の動きを見れば判るように、自走式は「同じ所を行き来し、毎回一定の輸送がある」場合には非常に有利だが、毎度輸送量も行き先も不明では、自走機械を幾つ用意し、どうやってメンテナンスをするのか全く見当が付けられないことになる。ちなみに前記キワ90では、毎度荷物の積み替えが発生し(そりゃそうだ貨物は自分で「乗り換え」が出来ねぇ)、結局貨車運用に戻したという。するとそもそも他に繋がっていない私鉄では逆に自走貨車アリなんじゃ?となる。実際「デト」とか「デワ」と呼ばれる貨物電車を有した私鉄は幾つかあり、令和の現在現役の者もある。とはいえ「本当に貨物輸送」に使われたのは50年くらい前までの話で、私鉄程度の距離の輸送はトラックに取って代わった。じゃぁ私鉄の貨物電車ナニしてんの?というと、路線内の貨物・資材の輸送や、万が一電車に故障が生じた際の機関車代わりに使われたりしている。「機関車では運用が面倒くさい」から自走機械にしたのに、自走機械が機関車代わりにされているとか先祖返りみたいで中々面白い。
で、21世紀になって突如現れた真正・貨物電車「スーパーレールカーゴ」ことM250系電車である。こいつは上記「自走式貨物車」のデメリットを排除するため。
・宅配コンテナ(佐川急便)専用
・東京-大阪間限定運用
とした。東京-大阪間の宅配貨物なら毎日需要は山ほどあるので量の変化は考慮不要。コンテナなので駅の前後はトラックで運べば良い。うってつけの導入先と言える。
ただ。「たくさん」走っているわけではなく、東京・大阪をそれぞれ夜に出発して早朝到着する1本ずつのみ。これは
とあって、「宅配便用途は他の貨物に比べるとそう大量でもねぇから」ということのようだ。ただ、走り始めて間もなく四半世紀。ネガティブな反応は聞かないので、応じたバランスの良い居場所と言うことであろう。
そんなわけでとりあえず走り回りなさい。
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