2025年ノーベル医学生理学賞について

説明しやすいノーベル賞は「受賞も納得」（わかりやすく効果が大きい＝画期的）ということで。

２年連続とかマスゴミがコーフン気味に言っているが、ワシは自然科学三賞以外興味は無い。

さて坂口志文特任教授が受賞した「末梢免疫寛容に関する発見」とはどんなものか。

直接的には「制御性Ｔ細胞」の発見になるようだ。 では制御性Ｔ細胞とは何か。

「Ｔ細胞」とあるので、Ｔ細胞の一種である。Ｔ細胞は「リンパ腺」でおなじみリンパ球の一種で「Ｔ細胞受容体」をたくさん持ってる文字通り小さな球体である。Ｔ細胞は更に「キラーＴ細胞」と「ヘルパーＴ細胞」に分かれ（元々同じ細胞だが成熟のパターンが違う）、キラーは免疫の最大の期待機能「ウイルスに感染した細胞やがん細胞を直接殺す」役割を担う。ヘルパーは「ウイルスに感染した細胞やがん細胞」を「こいつアカン奴やいてまえ」とキラーに伝える働きをする。

じゃぁ「制御性Ｔ」は何か。

簡単に言うと、免疫の「いてまえ」能力を「制御する」存在で、要するに「やり過ぎて健全な細胞までぬっ殺してしまう」ことを回避する機能を持っている。

免疫システムが「やり過ぎて健全な細胞までぬっ殺してしまう」状態に陥ったものを自己免疫疾患という。有名なのはⅠ型糖尿病、関節リウマチ。また、がん細胞は普通ならヘルパー→キラーの連携でぬっ殺されるのだが、制御性Ｔ細胞を奴隷にして免疫力を低下させ、殺されないようにしている。すなわち制御性Ｔを悪用している。

（それこそ大阪大学NewsLetter坂口さんの研究紹介記事から）

しからば、制御性Ｔの働きをコントロール（外部から刺激を与えて活性化したり鈍らせたり）できれば、この辺の問題を一気に解決する可能性が開ける。のみならず、移植で導入した臓器や骨髄細胞を異物と判断して攻撃してしまう問題を回避できる道筋が見える。

・自己免疫疾患の解決
・がんの増殖抑制
・移植医療における免疫応答の制御
・骨髄移植を通じた白血病・再生不良性貧血・顆粒球減少症の解決（ＨＬＡ抗原問題の解決）

細胞そのものの話は面倒くさいかも知れないが、応用できる結果はこの通りで、簡単明確で画期的「ノーベル賞級の仕事」そのものであると言えるだろう。

ただ、人為的に制御性Ｔ細胞を作り出したりする……所まではまだ行き着いていない。いないが、Ｔ細胞が成長する過程で、どうすれば役割が変わるのか、みたいな部分は見えて来つつあるので、まぁ近い将来、これら難問が解決のフェーズに移行して行くことは間違いないであろう。

リウマチも、がんも、何なら白血病も治ってしまう。すごい未来が近づいている。