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2026年1月 2日 (金)

アキュフェーズDP-570Sの技術

★音質の話は→こっち

●アキュフェーズの技術

「めっきされた音だ」「つまらない」ネットで聞く悪口は大体この二系統に集約される。一方、搭載している技術について否定・反駁している論陣はこれまで見たことがない。

基本的に原理原則に忠実で、精度を高め、余裕を与え、ノイズや歪みの低減に工夫を凝らす。大まかにそんな傾向の会社と言って良い。なにがしか思いつくとフラグシップ機に搭載し、以下下位機種へトリクルダウンして行く。

ただ「革新的な何か」や「新しいデバイス」にすぐ飛びつく傾向は薄い。現下デジタル・アナログ変換の主流であるビットストリームΔΣ方式の採用は「慎重の上にも慎重な」レベルであったし、本機にしてもそのDACデバイスはESS9028PROで、ESSとしての最高性能DACデバイス「9038」ではない。やたら高価でバカでかいポータブル機がこぞって9038を採用しているのに、アキュフェーズで9038を使っているのはセパレートDACの「DC-1000」だけで、一体型のフラグシップ「DP-770」も9028である。本機の登場を何年も待ったのに「570無印と同じじゃんか」と肩を落としたファイルもあるのではないか。この記事ではその辺を切り口に、そのDACと、本機と無印の最大の相違(進化点)ANCCについて、ブツクサと書いてみたい。

●ESSの使い方に見るアキュフェーズの考え方

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9028PROはESS社が2016年に発表したDAコンバータICである。ネット通販で1コ1まんえん。心臓部たる変換回路は「Hyperstream II」である。

Figure02

(ESS国内代理店「グローバル電子」さんのサイト

え?難しい話するに決まってるじゃん何言ってるの。

Figure04

ΔΣ方式のDAコンバータは「振幅の大きさ」を「パルスの本数」に置き換える。「Δ」すなわち今と前の「差分」を比較し、増ならパルスを発し、減ならパルスは出さない。繰り返して行けばアナログ信号に追従したパルス列になる。wikiには簡単に正弦波・サインカーブで適用した例があり、「位相90度(sin(π/2)=1)」に近いところはパルスがびっしり並び、同270度(sin(3/2)π=-1)ではパルスがスカスカになる。音楽データを再生する場合、こんな感じに「電圧が高い=パルスがたくさん」となるように、データを並べ替えてから、簡単には抵抗とコンデンサだけの「ローパスフィルタ」に流すとパルス本数に応じた電圧を有するアナログ音楽信号に変換される。

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(wiki)

一般のデジタル音楽信号であるPCMは、この正弦波+1←→-1間に16bit~24bitのデジタル値を持たせたモノであり、デジタル演算で「ビット数をパルス数に変換」するのは容易である。ちなみにこの「パルス数」はPCMのサンプリング周波数より充分高い物でなくてはならず、CD44.1kHzの64倍(2.8MHz)とか大きいと256倍(11.2MHz)とかに取る。なおこの「パルスの羅列」をそのままゼロイチで記録・再生するのが「DSD方式」であり「スーパーオーディオCD」である。ここまで書いて前後ひっくり返すと、PCMデータでは少なくも64倍オーバーサンプリング処理を噛ますので、サンプリング周波数と信号波(音楽)周波数との差分に相当する「折り返しノイズ」による影響を、耳や回路動作に影響を与えない遥か高周波へすっ飛ばすことが可能となるうえ、PCMがDSDになるので、DSD/SACDと同じ素子でDA変換できる、こうなる。

で、ESS素子の何が好まれているか、すなわち「Hyperstream II」は何やっとるか、という話であるが、入力されるデジタルデータには時間軸方向のブレ(ジッタ)が乗っており、これが上記のように2.8MHzだの11.2MHzだので変換するには大きな誤差となり、変換ミスやノイズの元になる。これに対し変換器を4つパラで(多分少しずつタイミングをずらして)走らせ、しっかりした自身のクロックで動かす。ジッタが乗っていると4つのDACの和は「真の答えとノイズの和」となるが、ノイズはパルスの本数すなわち直流電圧成分になるので、フィルタで簡単に切れる……歪みの少ない優れたアナログ信号が得られる、とこうなる。ちなみにこれは「ランダムノイズを含む同じ信号を合成すると真の信号は合成した数だけ増えるが、ノイズは部分的なのでそうでもない。合成した後圧縮すればノイズのレベルが下げられる」という2010年以降アキュフェーズが好んで使っているパラレル動作回路の屁理屈と通じるところがある。「なるほどねぇ」と納得するところである。

●ESS素子で文句言われたところ

曰く「使いこなしが難しい」そうな。ネットを漁るとクロック同期が外れやすい。上でブツクサ書いた通り「クロック命」の素子だが、その故に自分で首を絞めてるような……凝りすぎた回路あるあるですな。9028や9038PROはこの辺を改善しているそうな。

●9028と9038て何が違う?

これは「Phileweb」のメーカ担当者インタビュー記事に書いてあって。

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ファーw

つまり「パッケージの中に作り込まれた回路は全く同一で、そのうち幾つ動かしているかどうかの違い」となる。パラで使って合成する場合、多い方が(正しく同期動作できれば)上記信号とノイズの関係で歪みは少なく出来るが、応じて動作電流が増えるので発熱が増加するし、パルスを正しく出す瞬発力のある電源じゃないとそのメリットを享受出来ない、こうなる。アキュフェーズでいうと上位機種の770やDACの1000が、ちっぽけなICの周囲に電解コンデンサが林立する大げさに見える電源回路を奢っているが、それは瞬発力を求めた結果そうなったということであろう。なおこれで判るように「9028だから」と肩を落とす必要はないということになる。温度を気にしながら9038使うより9028を余裕もって駆動した方が楽だ。

●ANCC(Accuphase Noise and distortion Cancelling Circuit)

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アキュフェーズが時々出してくる「原理は判るけどすげぇ速度や精度を要求する」ギミックの一つ。これはまずアキュフェーズの特許明細書を見てみよう。

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(特許第6983411号

をー、登録(すなわち特許として認められた)されたの2021年だぜ。以下記載内容そのまんま。

 本発明に係る増幅回路は、入力端子10からの増幅する信号を入力する主増幅器反転入力端子12aと、増幅回路の共通電位に接続した主増幅器非反転入力端子12b、及び増幅された信号を出力する主増幅器増幅出力端子12cを有し、前記主増幅器増幅出力端子12cの信号を前記主増幅器反転入力端子12aにフィードバックする主増幅器帰還回路121を設けた主増幅器12を有する。
  そして、前記増幅回路の共通電位に接続した副増幅器反転入力端子14aと、前記主増幅器12の主増幅器反転入力端子12aの入力信号を入力する副増幅器非反転入力端子14b、及び増幅された信号を出力する副増幅器増幅出力端子14cを有し、前記副増幅器増幅出力端子14cの信号を前記副増幅器反転入力端子14aにフィードバックする副増幅器帰還回路141を有し、前記主増幅器反転入力端子12aに現れる電位と前記共通電位との差分を増幅して副増幅器増幅出力として出力する副増幅器14を有する。
  上記の構成において、前記副増幅器14の副増幅器増幅出力端子14cに現れる信号を前記主増幅器12の主増幅器反転入力端子12aに接続する誤差信号帰還回路142を備え、前記主増幅器12の主増幅器増幅出力端子12cに現れる出力を回路の出力としたことを特徴とする。

要するに、入力されるオーディオ信号10番(Vi)をアンプ12番で増幅し、そこに歪みが載っていれば、12aに12b(コモン)との電圧差として出てくるでしょう。それをアンプ14番で反転増幅し、その結果をViに戻すことで打ち消す。すなわち12aに歪みに伴う電圧が出ないように全体としては動作する。

シンプルですね?でもこれを実現するには高速で動作する増幅器12や14を用意し、動作が目論見通り行われるよう電源を与える必要があるわけです。しかもこいつら自身がノイズ出してちゃダメなわけで。「MJ無線と実験2026年冬号」によれば、750Sの回路では、「12」に相当する素子がTIのOPA1656(元オーディオ素子開発で一世を風靡したバーブラウン)、「14」が日清紡マイクロデバイスNJM2122(型番で判るように新日本無線が買収された)であり、ノイズ密度で言うと1656が1kHz 時に 4.3nV/√Hz、2122が1.5nV/√Hzと頑張ってらっしゃる。そこら辺のオペアンプ、例えばルネサス(旧NEC)のμPC4574だと5nv/√Hzなので、なるほど高性能なんだな、というのが判る……のか?wなおこの「ノイズ密度」という尺度だが、要するに「ノイズ電圧は帯域幅の自乗に比例」という意味。まぁ、吟味して使っているんだな、ということは理解いただけよう。

■最後にアキュフェーズは「高価」なのか?

そりゃ量販店で売ってる2万円とかのセットとは次元が違うが、アキュフェーズが広げたと言って過言ではない「アホみたいな価格のオーディオ製品群」の中では、草分けであるラックスマンと共に、あまり値上げせずに頑張った結果、むしろ「安価」な方へ広がっているというのが実態ではないか。他社をみたまい。「エントリー機種100まんえん」からが普通ではないか。比して5年月賦で無理なく買える値段から応じた満足感(高い機械買ったなぁ)の得られるモデルが揃っている。「プレーヤーだけ」「アンプだけ」背伸びしてドーンと行く手はアリだと思う。

それだけでも世界が変わる。おすすめ言わないが買って損はない。なお結婚後にアキュフェーズ買おうとすると家族会議必須、沙汰の結果では打首獄門となるので、独身のうちに1コもっておいて「趣味のオーディオというのはこういう価格帯のシロモノだ」と洗脳しておくこと。

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