【オーディオレビュー】nwm(ヌーム)見参 @nwm_jp @phileweb
娘のイヤホンソニーFloatRunがぶっ壊れて「同じ物をまた買うのも……」となった話は前に書いた。
・ネックバンド(TWSは落とすのが怖い)
・オープンイヤー(カナル型は鬱陶しい)
・ヘッドホンはイヤ(重いし髪型に制約を受ける)
・当然ワイヤレス(マルチポイントなら尚可)
・出来ればマイク付きのヘッドセット(オンライン授業や就職後のネット会議等も念頭に)
検索して出てくるのは骨伝導ばかりである。耳たぶ(耳珠)に発音体を接触させるテクニカの軟骨伝導もチェックしたが、とにかく音量が取れないうえ、音質はシャリシャリ。しかも発音体と耳たぶは単なる接触だから音質的なスイートスポットに安定しておくことが難しい。
というタイミングでPhilewebの「VGP大賞」の記事を見ていたところ、
おや?何か娘の要求にマッチするスタイルの物体がありますね。
そういやNTTがオーディオのベンチャー立ち上げるとかうっすら記憶が。
nwm(ぬーむ)。
NTTソノリティという会社の製品になる。VGP受賞製品沢山映っているが、全てオープンタイプであり、応じて「既知の問題点」を解決する2つの技術を掲げている。回し者みたいだが少し紹介しておくw
発音体オープンあっぱっぱーであるから、そのまま鳴らすと自分の耳のみならず周囲にもぶっ放す。TWSが広がって減ってはいるが、イヤホンから盛大にぶっ放すシャカシャカ野郎はまだ見かける。これにnwmが取った対策が「Personalized Sound Zone」(PSZ)というコンセプトなりテクノジである。昨今ワイヤレスはほぼすべからく「ノイズキャンセル」機能を持っているが、これはマイクで拾った外音の位相を逆にした(音波の山と谷を裏返した)オーディオ信号を作って聞いてる音楽に重畳するものだ。耳に届く外音は打ち消されて音楽だけが残る、という仕組み。nwmはそれを真逆に使い、「漏れる音」に対して活用している。要するに聞いてる音楽の逆相を作って周囲にぶっ放してシャカシャカを打ち消している。
もう一つは自分の話す声を認識する「Magic Focus Voice」というもので、要はマイク2セット(=上記PSZ実現用耳元)あるので、真ん中にある「使用者の口」から発せられた音はほぼ等時間で届くであろう。更に人の声のスペクトル分布(フォルマント)を利用し、他の環境音より際立たせて出力する、ということをしている。まぁ2つのマイク出力足してやりゃ「話者の声」が一番大きな信号になりますわな。後はそれを人の声かどうか峻別していると。アナログ時代のドルビーステレオ「ステアリングロジック回路」を思い出したぜ。
以上からまぁ、日本の会社だし「スピーカーから空気で音波伝導」というオーディオの基本要素はそのまま、プラスアルファの工夫をしており、副作用は少なかろうと判断。娘に学校ついでに試聴してこい(扱う店は少ないが名古屋はあった)と伝えた結果「気に入った」とのことで、ブラックフライデーで安価になっているヨドバシでポチって届いた。
自分の耳でも聞いてみましょう。nwm MBN001。23年11月発売。送信はウォークマン1AM2。
●Fantasy On Ice/サラ・オレイン(96/24)
個人的に令和から評価用ヴォーカル音源。ハイレゾだがフォーマットSBCなのでどうにもならん。クリアだが低域は軽い。通常のラウドスピーカで再生すると音像がスピーカを結ぶ線より前(リスナー側)に出てくるが、そのミニマムというか、ヴォーカル音像はすこし後頭部寄りに結像する。さてハイテンポで弦・管・電子楽器全て駆使して演奏されるが、弦にキツさは感じられず安価なユニットの「いかにも安っぽい」印象は無い。ただトゥッティでは少し歪みっぽくなるか。
●アイドル/YOASOBI(96/24)
面白い音。エレクトリカルが脳内に結像して意外やカリカリ描く。ヴォーカルはすこし鼻づまりっぽく聞こえるが軽やかに流れて行くので気にしなければ気にならない(なんじゃそら)。
●Coextensive/Master Gun(44/16)
ジュリアナ東京。エレキ面白いのでガチテクノを再生してみたが、しまったコイツはドンシャリが身上なので低音が出ないと面白くないのだった。ただ、「うるささ」はない。テクノをうるさくなく再生出来るのは歪みが少ない証拠。
●Kosmos/Semisphere(44/16)
トランス。電子音の塊。ポリリズムで進行して行く音が適当に位相回っておもろい音で再生される。決して「ハイファイ」ではないが、いらんノイズも乗ってないと言うべきか。時々、ハッとする。そんな感じ。
●総括
イヤホンというより「超小型スピーカを向かい合わせに置いた中で聞いてる」感。音場は左右を結ぶ直線上で、にじむように周囲に広がる。関取の大銀杏的というか。でもって発音体から鼓膜まで駆動すべき空気のマスが大きく、振幅の必要な低音は「壊滅的に」ムリ。ただ引き換えそれなりの解像度はあるので、EDM~ポップスは十分な能力と言える。
■娘のコメント要約
娘に装着した状態。発音体がまんま耳道の対面に来るうえ、耳介に丁度収まるので低音は「壊滅的」までは行かないのではないか。細かな工夫様々されているが、娘が言うにはメカとデンキは別体で肩の上に置いておけば良いので、耳朶にかかる質量は発音体のみであり、軽量で「次第にずり落ちる」ことはないし髪も邪魔せず、「いいこと尽くめで女の子オススメ」の由。なおネックバンドの左右はケーブル中途に小型のマグネットが通してあり、首の前でくっつけておけるので、歩いていてブラブラするのを防げる。
●おまけ
ケース。中はボール紙のホルダーと紙ペラ一枚の説明書だけ。
なおソニーIER-M9。この包装と箱の材料の無駄使いと、輸送における空間消費量の大きさよ。なぁソニーさんよ。この箱で運んでいるのは殆ど「箱自体と空気」なんだぜ?そのコストでケーブルの質が少し高くなるだろうが。しかも「箱」なんざ中身を出せば見もしないのに場所だけ食う。安いうどん屋のエビ天の衣そのもの。
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