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【妖精エウリーの小さなお話】クモの国の少年【3】

(承前)

 

 それが男の子の意思。
 なんのために。私は男の子の心深くを読み取っても良いのでしょうか。もちろん可能です。でもそれは心の中に土足で入り込むのと同じ。
 クモ自身は敵意はないと言っているのです。昆虫もそうですが、虫たちの脚には細かい毛が生え、敵意や恐怖に連動した発汗や小さな震えを敏感に感じ取ります。つまり、虫にはその人が虫好きかどうか判るということです。
 クモが二股の枝に絡げた巣に身を落ち着かせます。男の子はそれを見届けると、鼻歌と共に道を歩いて行きます。私は少し距離を取り、男の子の後ろから飛んで行きます。
 男の子は角地の家に入って行きます。広い庭のある家で、プレハブの倉庫が建っています。手入れされた垣根の潜り戸から中へ。
 庭には赤い実を付けたナナカマドの木があり、ムクドリが2羽。
 1羽がギャーと鳴いて、その意志は。
〈妖精さん、この子は危険です〉
 それはクモと全く逆の反応。
「ちょっと待てな」
 男の子はクモのいる二股を別の庭木に立てかけると、家の壁に立てかけてあったゴルフクラブを手にしました。
 振り返ったその顔は、優しくクモを手のひらに載せた男の子ではありませんでした。
 まるで太陽が北風になったような雰囲気の急変。
 ハッと息を呑んだ。ひょっとすると私のその音が聞こえたかも。
 次の瞬間。
「出て行けクソ鳥っ!」
 男の子はムクドリたちに向かってクラブを振り回します。

 

つづく

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