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彼女は彼女を天使と呼んだ(3)

 しかしそのイメージはすぐに消えた。見張る瞳は彼女の強い意志、事の真相を知りたいという思いの反映。そう理絵子は受け取った。
 つまり〝霊能〟に頼りたい何かがあるわけだ。その気持ちは理解する。でも、理絵子はその有無を明らかにする気はない。明らかにするわけには行かない。
 〝判ってしまう〟ことは、であるが故に、何の解決にもならない事の方が多いのだ。
「あの教頭と最後に口聞いた生徒は多分私。それは本当。でもそれとこれは全く別の話」
 理絵子はそういう言い方をした。これなら肯定も否定もしないがウソにもならない。
「な~んだ」
 北村由佳は残念そうに言った。それは、〝霊能者などではない〟と受け取った、ということであろう。
「ごめんね。力になれそうもなくて」
 理絵子は目を伏せてそう言った。
「ううん……」
 北村由佳は短い髪をなびかせて首を左右に振り。
「でも、理絵ちゃんなら話してもいいかな……」
 彼女の言葉と共に、様々な気持ちが理絵子を捉える。まるでラジオが不意に異国の電波を受信したかのようである。その息詰まるような熱さと揺らめき、戸惑いと希望。
「好きな男の子がいる……んだ。言っちゃった」
 頬染めてはにかむ。

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