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彼女は彼女を天使と呼んだ(4)

 明確なイメージが脳裏に描かれているので誰だか容易に判る。隣のクラスの学級委員で、3年生が引退した夏過ぎからはサッカー部主将。身長は176で。
 外見〝だけ〟で行くなら成る程と思わせる。ただ、彼には……いやいや悪口は言うまい。
 北村由佳は、相手は誰かは明確にしなかった。ただ、理絵子が霊能を持つなら、彼と己れの行く末を占ってもらいたかった。そう言った。

 ……〝判ってしまう〟ことは、であるが故に何の解決にもならない事の方が多いのだ。

 ただ、この場合それを持ち出すまでもないのだが。
 そこで北村由佳が何か気付いたようにハッと目を見開く。
 実際何か気付いたのである。それは発散される雰囲気の変化として観測され、〝色〟のイメージを理絵子に与えた。但し恋のたとえに多用されるピンクではなく、トマトの皮を思わせる赤。なぜそうなのかは判らない。打ち明けられたことはないし、自分自身恋をしたことはないし。
「委員長会議ってあるんだよね」
 北村由佳は黒水晶の瞳で尋ねて来た。その会合の用途は教員から学年全体への連絡事項下知。及び学年共通と思われる生徒間問題の奏上。
「じゃぁ相手はどこかのクラス委員?」
 それは流れから誰にでも判る話で、誰にでも言える言葉。
 対して。
「え?あ、うん……」

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