彼女は彼女を天使と呼んだ(1)
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「かも知れない」が「らしい」になり。
「らしい」が「なんだって」になり。
そして「そうなんだ」になる。
結果、誰かの想像が、事実として広がる。「ウワサ」の発生と伝搬に良くあるパターンである。
『4組の学級委員、黒野理絵子(くろのりえこ)は霊能者である』
このウワサは、12月になった時点で、学年で最早知らない者はないという事態になった。ただ、噂の真相を、当の理絵子に直接確認しようとする者はなかった。
もちろん、火のないところに……の倣い(?)の通り、ウワサが立った背景事象は幾らかある。端的には、猟奇的事件の犯人として彼女ら中学の教頭が逮捕という事態になり、その直前に犯人教頭と理絵子のやりとりが多くの生徒に目撃されていること。及び、猟奇事件がいわゆる〝学校の怪談〟として代々言い伝えられて来た内容であるためだ。すなわち、学校の怪談を彼女が最終解決した。その手段は何か?霊的な話だから霊能力だろう、というわけだ。
最も、そのくらいなら別に理絵子も気にするつもりは無かった。
事態が妙な方向に動き出したのは、期末テストももうすぐといった、霜の降りた朝のことだ。
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