彼女は彼女を天使と呼んだ(24)
だとすれば『女は顔だ』と公言している(らしい)件の主将君などダメの急先鋒ではないか。
「……学級委員は平等か?」
「そこに行き着くな。……っても難しいか。やっぱり。自覚持って学級委員とか、超然とした立場を維持するとか、マンガじゃあるまいし、か。お前だってそもそもの理由はオレが警官だからだもんな」
で、それを繰り返すうちに黒野理絵子は学級委員……というコンセンサスが確立した。のが今の自分である。最もそれなりに声を掛ける際の工夫はしている。
『あたし全員と友達になりたいんだ』
大体、新しい顔同士の寄せ集めの新学年で、父親の言う〝小さなグループ〟が確立する前にこれを仕掛ける。『黒野はアイツとも付き合いがある』……それは警戒を呼び、いわゆる〝親友〟には発展しづらいかも知れない。それぞれにそれなり。ただ、それでも『黒野さんなら聞いてくれると思った』というパターンもままあり、善し悪しであろう。桜井優子とはもはや家族ぐるみだし、トータルプラスなら良いのではないかと思っている。
と、自己認識を整理していてハッと気付く。
認識の整理。
「要するに脳内で勝手に憶測が進行するんだ」
「ナニナニ何だって?」
会話的に飛躍した論理に父親が身を乗り出した。
「つまり……」
生の本人を知らないから、人から言われたことを真に受けて〝勝手に思いこむ〟……メール中心の付き合い方がもたらした弊害。もし生の付き合いがあり、本人の人となりを知るならば、〝華麗にスルー〟できるはず。
もう一つは、傷ついた心の動き。傷ついているが故に最悪の捉え方をする。〝勝手に思いこむ〟。
更にそれらを見ている外野。同様に言葉尻だけ見て〝勝手に思いこむ〟。
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