ブリリアント・ハート【8】
高架ホームに降りる。
危ない、という直感が訪れる。それは五感に属さない“特殊感覚”であり、更にその内容が警察の接近であると極めて具体的に判る。
特殊感覚。それは彼女レムリアが有する特異な能力である。新月云々もそれに由来する。追って紹介する機会があろう。
電車が去る。レムリアはホームが無人になったところを見計らい、小型のデジタルカメラで自らを撮影し、アダプターで衛星電話に接続し、東京に送信した。
3分後。東京から電話。
『届いた。横浜で見かけたと警察屋サンに電話した。王女某によく似た娘が元町でアクセサリーを探しておった』
「…ありがとう!」
レムリアは喜んで言うと、電話を切った。
しかし、今すぐ行動を起こすと、駅前に待機しているであろうその警察屋さんの前に一人で降りて行くことになる。乗ってきた電車の客は既に皆ホームから去っているからだ。さすがに目立ちすぎるので、そのまま次の電車まで10分待機。
再び電話。
『横浜説がメディアに出た。嘘つきになってしまったオレ』
「ごめんね」
『ええよ。リアルなウソつけるのはオレだけだし。じゃ、健闘を祈る。また何かあったら電話なされ』
電話が切れて電車が到着。下車客に紛れて階段を下り、改札へ向かう。
思った通り、改札向こう、駅前広場へ降りる階段下に警官がいる。さすがにこうして各駅に張る警官個々人には、横浜情報はまだ届いていないと見える。
避けたりするとかえって怪しいので、携帯のボタンを操作しながらカードを改札に通す。この“カードを慣れた手つきで通す”が、無関係さを強調し、警官に“まさか”と思わせない、強い説得力を与えることを意識する。
スムーズに改札通過。駅前広場へ向かって階段を下りて行く。
その時。
(つづく)
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