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彼女は彼女を天使と呼んだ(33)

「ましてネット。ウチらには手のひらの向こうだけど、特殊な世界なんだよ連中には。そこで、心理学的にこれこれこうだから、こういう行動を取る、と意味づけしてやる。口先だけじゃない重みが加わる。あんただって、練習で後輩にあれこれ言うのに、有名選手の物言いやレッスン本の記述引用するでしょ」
「ああ。なるほど」
 彼はまず言い、次いで笑みを浮かべて、
「頭いいんだな、理絵ちゃんって」
 ま~たモーションか?理絵子は思いかけ、そのまま素直に受け止めた。
 トーンが違う。これは彼の本音。
「必死なだけだよ。オトナって図に乗るから」
 だから、自分も本音を口にする。
 そして、スムーズに本題に繋げて行ける。
「ウチらの立場は、先生のお気に入りになっちゃいけないってこと」
「え……」
 主将君は目を見開く。黒野理絵子が教員陣に〝可愛がられて〟いるのは周知の事実。
「肩書きは先生でも中身は〝オトナ〟だよ。世間一般ご覧遊ばせ。オトナって何してる?新聞めくればオトナの犯罪花盛り。自分勝手であくどいことやって人を騙してウソ付いて。私らがそんなのの味方と思われたら学級委員の意味なし。私はむしろ、だからこそ堂々と先生様一同に楯突いてる。このネタだって裏の目的見え見えじゃん。ネット禁止電話禁止そういうの見るのやめましょう。そーいう方向に誘導する気でしょ。
 アホかって。家パソフィルタリングして下さいって触書出すわけ?市内のネカフェ漫喫(まんきつ)PTAがタスキ掛けて巡回するの?」

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