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彼女は彼女を天使と呼んだ(42)

「とは思わないけど、言い出したら図に乗るだろうね。私はむしろ、センコー共も手の打ちようが無くて、生徒側に縋ってるような印象を受ける。あなたの言う通りあの世代にはネット空間はリアルの代替。ウチらから見ればコミュニケーションの一選択肢。いわゆる裏系の存在自体も、そのカキコミを真に受けるという心理も理解出来ないと思う。まして感性みずみずしく繊細な十代のココロでもない。そういうココロの状態でこれだけ揃ってる、こういう時代を迎えたってのは私たちが最初のはずだから。ただ、テレパシーを持ったに等しい。知りたくもないことまで勝手に判っちゃう。その場で音波として消えていた『ここだけの話』が、カキコミという形となり、しかも残り続ける。それは知ってもらわなくちゃいけない考えだと思うし。それと、ひとつのきっかけで怖い考えが暴走的に進んでしまう。ってのは誰もが通ってきたはずで、思い出して欲しいと思うし。それこそ〝こころ〟って、そんな暴走の挙げ句、抜け駆けするわけでしょ?」
 本橋美砂が話す途中で健太君が足を止め、妙にゆっくりした動きで後ろの二人の方を見た。
「二人いっぺんに送り狼?」
 本橋美砂はさらりと凄いことを訊いた。
「あの……」
 健太君は怖々、という面持ちで理絵子に目を向ける。
「そういや霊能者って」
 会話中のテレパシーという語に反応したのだとすぐ判った。
「私ら二人ともそういう話が好きだから、その方が判りやすいんで使っただけ。あなたが同意ってなら採用して、聞く気の無かった怪しいラジオを勝手に受信って表現に換えるつもりでいるけど?」
「知られたくないことを勝手に知られてしまうのは怖いべや」
 本橋美砂の言葉に、健太君は目を泳がせた。それこそ本当に隠し事を晒された男の子のようである。

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