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彼女は彼女を天使と呼んだ(34)

 理絵子は思い浮かぶままストレートに言葉を紡ぎ出した。
 それは別にまとまっていた思惟ではない。たった今話しながら自分自身洞察に至ったのだ。
 そうだよ。降って湧いたようなネタに感じたが、それはそれでアチラさん側の作戦なのだ。仮にそんな結論出したら当然、非難囂々になるだろうが、この結論は生徒代表である委員達の自主的な判断による……なので、矛先は参加した委員達に向く。〝火の粉〟は教員には降ってこない。
 しかも、教員側の捉え方として、〝学級委員〟はそういう問題に巻き込まれない。ってのが一般的であろう。
 大臣に踊らされた、世間知らずの代議士先生が、マヌケな法案を出す。
 子は親の鏡。子ども世界は社会の縮図。なお、ネカフェは時間制でインターネット閲覧が可能な喫茶室インターネットカフェの意。漫喫は漫画喫茶の略。
「状況を整理するよ」
 ノートに図で書き出す。まずネット世界の捉え方。先生共にとっては、基本的にテレビラジオと同じような情報供給源。コミュニケーションツールとしての意味づけは、手紙電話の電子化であって、パソコン・携帯電話という〝ネットと共通の道具〟で、それを行っているに過ぎない。
 他方、自分たちには、先にも書いたが、1次元からリアルまでの間の選択肢のひとつ。
 その選択肢の使い分けは、用件さえ判ればいい。声が聞きたい。体温を感じたい。同じ時間を共有したい。
 そう表現したら、最後の〝共有〟で、主将君はイヤそうな顔を示した。
「ヤなヤツと共有は……」
「ウザイ?」
「うん」
 理絵子の問いに、彼は素直すぎるほど頷いて返した。この辺り、自分たちの世代ならでは、なのではあるまいか。
「だけど、イヤでも同じ時間を共有せざるを得ない状況で生きてきたのが、ウチらの親とか先生とか。そこがまず違う。ウチらイヤなら次元を下げられる。まず1次元から始まる」
 すると彼はハッと目を見開いて理絵子を見た。
 理絵子はそれは自分の発言の失敗と気づいた。
 しかし既に遅い。
「理絵ちゃん。俺のこと嫌いか?」

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