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彼女は彼女を天使と呼んだ(50)

 学校方向よりこちらへ走ってくる、見慣れた着崩しセーラー。
 桜井優子である。何かあったのだ。
「優子?」
「りえぼ?りえぼーか!」
 いきなり抱きすくめられる。
 痛いほどに。大柄な彼女に抱かれると自分は埋もれてしまうかのよう。
「良かった。……心配した……いないから……お前いないから……」
 涙まで流されてしまう。
 一体何が起こったのだ。桜井優子の心配ぶりからして、自分が関わることのようだが。
「何が……」
「あのな」
 彼女は昨晩、夜通し彼氏と走り、そのまま学校に直送されたので教室へ向かおうとしたという。
「下駄箱にクラスのみんないてさ、しきりに訊いてくるんだよ、りえぼーどうしたって」
 桜井優子は要は留年のツッパリ系である。そうした経緯と外見から、クラスメートで彼女に積極的に話しかける者は少ない。
 それが突然質問責め。何かあったと直感し、詳細さておき自分を探して通学路を逆行して来たそうだ。
「あれ?りぼんしてないじゃん。どうした?」
「どこかで落としたみたいで……」
「ならいい。何かあったせいじゃないなら。学校までボディガードしてやる」

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