彼女は彼女を天使と呼んだ(27)
「変わったよね」
隣のクラスから理絵子の机へ出張?してきている田島綾(たじまあや)が、そっちを見たまま呟いた。彼女はクラブ活動を通じての友人。先の本橋美砂は、綾の親戚筋が経営する民宿で住み込みアルバイト。
「おかげさんでこっちに降ってくる火の粉減ったけどね」
理絵子も目線を動かさず応じる。二人して見ている先は北村由佳。メガネをアニメキャラよろしく丸い物に変え、髪はいわゆる名古屋巻きのツインテール。おどおどしている、とさえ書けた最前の姿はどこへやら。輝くような笑顔で他の級友と喋る。
彼女は理絵子に声を掛けるどころか、目線すら向けなくなった。
その代わり。
「じゃあ…行ってみようかな」
「来て来て」
その喋っていた友人を伴い立ち上がり、目線を感じていたか理絵子をチラと見て背を向け、教室を出て行く。
その立ち居振る舞いは、セレブか勝ち組か。
「何今の……」
目線に含まれる〝見下した光〟に田島綾も感付いたと見られる。しかし、反射的に動こうとする彼女の肩に、理絵子は手をして制する。
「でも……行くんでしょあれ?〝彼女〟のところに。その〝天使〟さんのところにさ」
田島綾が眉をひそめる。
その〝霊能女子〟は北村由佳がそう呼ぶせいであろう、〝天使〟で定着しつつあるらしい。
3名が教室を去ったのを見てか、背後に駆け寄ってくる級友数名。
「りえぼーあんた知ってる?あんたの霊能は犬猫レベルだって言われてんの」
背後から声。少し心配気味に聞こえるのは自惚れ?
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