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ブリリアント・ハート【38】

 コース取りとしては、駅を通った方が早いは早い。しかし、東京の言う通りであれば、避けた方が無難であろう。
「だったら」
 あすかちゃんの提案でデパートの地下へ出、系列の私鉄駅改札前を横切り、ホテルの1階へ顔を出す。の方を選定する。やや複雑であるが、追っ手と遭遇する率は低い。
 …彼女が来てくれて助かった。
 バスから降りることにする。相談している間に他の客が通路に並び終えたため、二人は列のしんがり。
 すると。
「ああ、君たち」
 運転手が立ち上がりながら呼び止めた。
 驚かないはずがない。予想外もいいとこ。
 自分に言い聞かせる。冷静に、冷静に。
「はい?」
 応じ、外に目をやる。ドア前プラットホーム上に交代運転士がおり、降車した客を駅方面へ案内中。客の殆どはその方向。
 と、その行く手から走ってくる制服姿2人前。
 警官。
「みなさ~ん、少々よろしいでしょうか~」
 言いながら走ってくる。これは先頭切って降りたらアウトだったということか?
 幸運、とはいえのんびりもしていられない。視界の向こうの状況を捉えながら、運転手のセリフを待つ。あの、急いでいるんですが…
「ああ、いやね。君たちを待ったおかげでトラブルに巻き込まれずに済んだみたいだと。盗難車が逃げていたらしい」
 運転手は室内ミラー脇に掲示された自分の名札を外し、椅子の座布団を取り外しながら、言った。
 レムリアは胸をなで下ろす。そのことか。
「そうですか?」
「ああ、君たちは幸運の女神様だよ。ありがとね」
 笑顔を見せる運転士と共にバスを降りる。レムリアはそれが、乗る際に自分たちに不機嫌顔を見せた“詫び”を兼ねている、と気付いた。
「いいえ、こちらこそ待って頂いてありがとうございました…」
 バスを降り、頭を下げる。視界向こうでは警官が乗客をチェック中。こちらを見るが、運転士と話しているせいもあろう、疑いの意識は感じられない。これも幸運?
「どこへ?」

つづく

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