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ブリリアント・ハート【39】

 運転士が行く先を訊くので、デパート、と答えると、5メートル先の下り階段を教えてくれる。
「では…」
 二人は会釈し、階段へ向かう。警官の視線に急ぎたい気持ちが生じるが、ダッシュは禁物。逸る気持ちを抑え、やや顔を伏せ、しかし至極ナチュラルに、デパートへ続く下りの階段へ。
 階段の中間から文字通り脱兎の如く走り出し、売り場フロアへ到達。階段を振り返る。追っ手なし。一安心。
「ふぅ」
「変装しなくて平気?あ、こっち」
 あすかちゃんがエレベータホールへ案内しながら尋ねる。現在レムリアはカムフラージュ一切なしである。報道のままの少女が、報道のままの服装で、駅前デパートに入った形。
「色々考えたんだけどね」
 レムリアは、一般には誘拐された旨放送されていること、ゆえに駅前の雑踏に女の子といきなり現れても、まさかと思われるだけで簡単には判らないという推論から、逆に堂々としていようと決めた。と話した。
「仮に追っ手に掛かっても、目と鼻の先でしょ。ずっとここにいましたが何か?で話済むしね」
「そういうもの?」
「そういうもの。私はこの土地を知らないもん。いつの間にか出てしまったの」
「それって俗に言う確信犯」
「そう」
 レムリアのセリフにあすかちゃんは笑顔。
「面白い姫様ですこと」
「それ以前に単なるオテンバですので」
 エレベータで地下へ。
 地下は総菜とみやげ物の売り場。ここまではスムーズ。
 しかし。
「警官!」
 あすかちゃんが見つけた。制服警官が一人来る。方々に目を向けており、明らかに自分を探している。
 レムリアは警官をチラと見る。こっちに来る気配がある。
 王女某はとらわれの身である、という前提があるため、大丈夫とは思う。しかし、目を合わせない方がいいのは確か。

つづく

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