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ブリリアント・ハート【44】

 その間に、“部屋にいないように見えた”、最もらしい理由を考える。
 お役人、仕切り直しの咳払い。
「外へなどお出になっては?」
「まさか。あ、携帯が電波拾わないもんでベランダには出ましたけどね。外と言えば外ですね。…まずかったですか?」
 ウソではないが正確でもない。
 更に突っ込まれるか?しかし、男達は心理的にほぐれた様子を見せ、顔を見合わせて笑いあった。
 うまく誤魔化せたようである。レムリアは“多感な少女のつぶらな瞳”で、そうした彼らを見ながら、壮麗に盛りつけられたモンブランを一口頬張った。
 男達の表情が安堵に変わった。
「事件性は、ないようですな…」
 警官の表情が緩む。
「はい、そのようです。お手数を」
「いえいえ、何事もなくて何より。では、本部に報告を致しますので」
「承知しました」
 お役人が頭を下げて答え、警官は敬礼して辞した。
 支配人とお役人が一礼して警官を見送る。お役人はレムリアに目を戻すと、何か言いたげ。
「何か?」
 すっとぼけ。
 あすかちゃんは顔を伏せてモンブランを口に運ぶ。…笑いをかみ殺しながら。
 お役人は腰をかがめ、レムリアの耳元に口を寄せ、
「…姫様、実は姫様が御在室でいらっしゃらないので、誘拐事件の疑いが発生、非常線を敷いて捜索が行われました。横浜とか鎌倉とか、次は唐突にここの隣の市とか…いろいろ情報が飛び交いました。もう一度お伺いしますが、ずっと当ホテルにいらしたのですね?」
「ええ」
 うそつき。
「…でも相当な騒ぎになったのですね。わたくしの軽率な行動が原因でしょうね」
「あ、いえ、そういうことはございません。姫様はご無事でいらっしゃった。それで結構です。お友だちとのお約束や、携帯電話のご使用を制限させて頂くような必要性は全くありません。ホテルの方にも、国賓級の方にお泊まり頂くとあってか、過度の緊張で勘違いが重なったようです」
 お役人、支配人をじろり。

次回・最終回

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