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町に人魚がやってきた【3】

 水槽の上まで担ぎ上げ、さて。
「よし、入れろ」
「入れろって」
「ドッポン入れればいいが。他にどーすんだ」
「でも出来ればそーっと浮かべて……」
 半分人間なんだし。しかし水槽の中を覗き込むと、水面は水槽の縁よりかなり低いところ。
「あにグズグズしてっだよ。魚ひからびたら死んじまうべよ。ホレ行くぞ」
 おじさんは言うが早いか、人魚の魚の方を手放してポイッとやった。
 いやそっちはサカナかも知れないがこっちはオンナそのものなわけで。
 しかし脚立の上に立った状態でニョタイを上半身だけで支えるってのは重い。
 あーだめ。
 ドッポン。マグロが驚いて飛び上がってバッシャン。
 人魚、仰向けの状態で微動だにせず沈んで行く。水面に落ちたくらいじゃ失神から回復しないってどんだけ。
 って、水に飛び込むのは多分日常茶飯事。
「溺れてるみたいだ」
「ん?平気だ平気だ。人魚だし。ホレ、お前も乗れ。一緒に咲間(さくま)先生んとこ持ってくぞ。携帯かけろや。人魚持ってくで診てくれって」
 おじさんは水槽のフタを戻し、脚立を畳んで荷台から飛び降りる。
「……判った」
 オレは携帯電話掛けながら助手席へ。おじさんはエンジンを掛けて軽トラ発進。
 隣の集落の咲間診療所。呼び出し3回。
『はい』
 アニメの女の子みたいな可愛い声を想像して欲しい。ここの看護師作間(さくま)さん。
 勤めて40年。
「あ、あの松浦の佐久間ですけど。えーとですね、人魚なんです」
 よく考えたらすごい馬鹿なことを言ったオレ。
 ところがどっこい。
『人魚かい。そら難儀だろう。乾かないように注意してやって。往診するかい?連れてくるかい?』
 あっさり対応。
 拍子抜けしてオレも普通に反応。
「連れて行きます。今その佐久間旅館のおじさんと一緒で、水槽に入れて輸送中ですわ。もうすぐ着きます」
『そうかい判った。先生に言って準備しておくよ』
「ああ、じゃあ、よろしく」
 作間さんは電話を切った。
 これ現実?

つづく

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