【妖精エウリーの小さなお話】闇を齎す光【4】
(承前)
応じて、とっさに避けようとして、手にした石を目の前にかざしたのと。
直後、石持つ手のひらに、軽い衝撃を感じたことを覚えています。
私の髪の毛が数本ちぎれて飛んで。
隣家の壁を這うツタの葉に穴が開いて煙を一筋。
〝何か〟が、彼から発せられ、石で軌道を変え、私の髪と、ツタの葉を焼き切った。
「外したか!」
来る。と私は知ります。彼は今軍事レーダのように私の動きを探りながら階段を駆け下りて来ます。私が彼の武器に気付いていないと高をくくって。
レーザ光線。
裏町で外国人の露天商から買った物。
違法な高出力。
自分を化け物扱いする他の人間達に報復として。
その一方で、良いことをしているとして受け入れてもらいたくて、ゴミを漁るカラスを攻撃。
だから突然、カラスは目を射られ、何も見えなくなる。
光線は頭蓋を貫き、命を奪う。
そのことに気付いた私は、彼の敵。
背中の翅が風を起こす。
私は舞い上がり、彼が私を狙った踊り場に逆に飛び移りました。
カラスたちが方々から集まってくることに私は気付きます。カラスは仲間のピンチを何らかの方法で察知し、集まってくる。それは人間さんには不思議なことかも知れませんが。
〈エウリディケさんが危ない!〉
カラスたちの心強い思い。
一方、彼は動物たちと意志を交わす、まではできないようです。最も、人間さんのテレパシストが容易にそれが可能であれば、私たち妖精の立つ瀬がないのですが。
〈出てこい!いるのは判ってるぞ!〉
彼は〝心の声〟で叫びました。
動物の思考は読めなくても、カラスが何らかの不機嫌さを伴って集まって来ていることは察知しているようです。
彼に、私に、今必要なことは何でしょう。
光の銃を奪うこと自体は恐らく可能、容易の範疇でしょう。でも、ただ取り上げるだけでは、彼はまた入手するだけ。
彼の理解者となり、行為の残虐さを諫めなくてはなりません。
(つづく)
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