グッバイ・レッド・ブリック・ロード-13-
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アウトラインは以下の通り。男性は妻と真由の3人で暮らしていたが、趣味が高じて脱サラし、作陶の弟子入りを決意。安定職を失うことに当然妻は難色。応援したこの女性……麻子(あさこ)と名乗った……に夫はなびき、離婚し、駆け落ち。
まるでドロドロ系昼ドラマ。子供にとっては最悪そのものであり、この地の方言を使うなら『くそたわけ』だ。ただ腑に落ちないのは、そういう場合、主旋律から脱線したのは夫である上、収入も不定。自分が真由の立場なら、クールに母親の方に付くと思うが。
「に、しては、真由ちゃん、麻子さんに随分風当たりが強い感じですね」
遠回し。
「……あの子、私をこの人から引き剥がそうとして、この人の連れ子になった、と、私に宣言しました」
で、麻子としては、真由に気に入られようとして、敬語。
なるほどとレムリアは思った。ちなみに、通りがかりの自分にそんなことを話したのは、川俣窯主の言った口の軽さもあろうが、それよりも、自分がこの男性を助けたことで生じた信頼感と親近感、更には、そもそもこの不協和音がどうにかならないかと、麻子自身が思っている証拠。味方が欲しいという真意が無意識裡に表出したものだろう。なお、男性の無理は、近々開催の集合展示会に提出する作品が、幾つ作っても川俣窯主のOKを貰えず、とのこと。
オトナの事情は承知した。次は真由の言い分を聞いてみる番。
「すいません。スポーツドリンク買って来たいんですが、この辺りにコンビニか薬局は……」
立ち上がりながら尋ねる。ちなみに、それはそれで口実でも何でもなくて、買って来て男性に飲ませるつもり。
点滴の定番、リンゲル液の代わり。大体、スポーツドリンク自体、飲めるようにしたリンゲル液だ。
(つづく)
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