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グッバイ・レッド・ブリック・ロード-17-

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「へぇ~」
「これはこれは」
 果たして4人は、ニヤニヤ笑いを浮かべながら階段を上って来、そう評した。そして当然のようにレムリアに目を向けた。
「なんだお前」
「彼女の友達」
「そうかよ。おい真由、ちょっと来いよ」
「今私が彼女と話してるんだけど」
 レムリアは食いついた。そうはさせるか。
「なんだおめぇ……そういや知らねぇヤツだな。こいつの横浜の友達ってか?」
 レムリアを上から下までじろじろ見回すその様は、ケンカの前に相手の体格を値踏みするチンピラそのもの。
 そしてヘラヘラ笑う。得た結論は“与しやすし”そんなところか。確かに4人はいずれも真由並みの背丈であり、対しレムリアは頭一つ確実に低い。
「どーでもいいでしょ」
「なんだお前さっきから」
「『なんだお前』しか言えないの?」
 背後で真由が目を剥くのを意識しながら、レムリアは言った。
 ケンカを売っている。そう取られても構わぬ。ここで大事なのは自分が絶対の味方であり、頼りになる存在であると印象づけること。
 ちなみに、こんなのゴキブリほども怖くない。集団で暴力を働くのは本質弱虫と相場が決まっているからだ。自分に自信がないから、集団で力を誇示して、その自信を確保しようとするのである。無論、暴力に訴えてくるリスクはある。しかし、軽機関銃突きつけられてソセゴン(強力な鎮痛剤。麻薬の代わりになる)よこせ、とは比較になるまい。
「ほう、やんのかよ」
 あめ玉の生徒が、そのあめ玉をプッと地面に吐き捨てて言った。
「救助活動を少しね」
 レムリアはあめ玉を踏みつぶして笑ってやった。
 4人の雰囲気がガラリと変化し、目が暴力の色を帯びる。どう対処すべきか。指先に意を乗せれば呼応はしよう。しかしそれはこの場の選択肢として正当と言えるだろうか。
 
(つづく)

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