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グッバイ・レッド・ブリック・ロード-19-

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 レムリアは全部を受け止める。力一杯受け止める。強ばった身体が、腕の中で溶けるようにほぐれて行く。
 そのほぐれる身体を、尚一層力込めて抱き止める。
 少し、時が過ぎた。
「お前、リアルあいつらボコって来たら、どうするつもりだったんだ?」
 真由が、ぐすぐす言いながらレムリアに尋ねた。ちなみに、『本当に殴りかかって来たらどうするつもりだったのか』、の意。
「その間にあなたが逃げられればそれでいい」
 震える肩にレムリアは答えた。
「ふざけるなよ。見ず知らずのヤツに、自分のことでケガなんて……」
 真由は言い、レムリアに回した腕に力を込めた。
 息が出来ないかと思うほど抱きしめられる。
 やや暴力的ですらある。その動作と力は、レムリアの行動をありがたく感じる反面、余計な、無謀なマネをしやがってというニュアンスを含むか。確かに、物理的な暴力を目の前にした時、二人の体格差を考えれば、そう感じて当たり前であろう。真由は今、徒手空拳で拳銃に立ち向かう大馬鹿者みたいなイメージでレムリアを捉えているようである。
「実は自信があったりして」
 レムリアは明るく言った。
「武道の達人か?」
 真由は身を離した。少し尊敬の面持ち。
「ううん……」
 レムリアは首を横に振り、4名分の名前を読み上げた。
「……こいつらには、自信満々の相手にかかってくる勇気なんかないよ。だからいつも4人で固まってんじゃん」
「なんだハッタリかよ……あれ?なんでお前あいつらの名前知ってるの?教えたっけ?」
 目を円くする真由に、レムリアは手のひらを開いて見せた。
 生徒手帳が4冊。
「……あいつらの?いつの間に」
 手を握ると消える。
 真由は目も口もあんぐり。
「お前……」
「私の母は私に言った。その能力、人を救うこと以外に使う事なかれ。従わないならば腐って滅びる。だから私は、今この力を、あなたのために全力で使う」
 
(つづく)

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