グッバイ・レッド・ブリック・ロード-21-
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感じた理由を後から理解する。自分自身、そうした確固盤石たる味方がいるから、自信と心理的強さを保持しているのだ。
そして、その味方は、他でもない今の真由に無いもの。つまりは
“信じられる存在”
「史上最強のお節介を感じるのは気のせいか?」
真由は目線を戻さず、しかしわずかに笑みを浮かべて言った。
頼る、イコール子供のように甘える、という認識が真由の中にあるのだとレムリアは知った。だからそういう意思表示はしたくないのだ。
……そもそも父親を内縁者から奪い返そうとする意志の持ち主である。他力の介入はプライドが許すまい。
「そうかもね、9千キロの彼方から押しかけてくるお節介なんてね」
レムリアは真由の横顔に言った。そして。
「日本のマンガやアニメじゃそういうの定番みたいだね」
「でも主人公がそういう押しかけさんを信じないと物語は始まらないぜ。自分がお前を信じない、と言ったら、お前どうするんだ?」
「去ります……」
「だろうな」
「あなたを連れて」
この付け足しに真由は目を剥いた。
「私と同じ学校に、アムステルダムのフリースクールに通えばいい。国籍も境遇もまちまちだから、いじめのきっかけに多い“自分たちと、それ以外”というカテゴライズ自体が発生しない。好きな時に学校行って、好きな科目を勉強して、時々孤児院にボランティアに行ったりして。オランダだけど、あなたの英語力なら不自由ないはず」
レムリアはまばたきすら忘れた真由に向かって言った。
……いじめ問題で鉄則として言われる事は幾つかあるが、そのうちの3点を今レムリアは提示している。信頼者であること、当座の暴力を回避する場所を用意すること。現行の勉学続行が不可能な場合の代替手段を確保すること。
(つづく)
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