グッバイ・レッド・ブリック・ロード-23-
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真由の台詞を借りると長くなるので以下要約する。陶芸家宅に居候のニート状態。威張れる環境ではないので真由は担任に口止め。ところが転入生紹介の際、著名な陶芸家だからと担任は口を滑らせた。『弟子入りなんてスゲェなぁ』そんな反応を目していた、と担任は弁明した。
ところが実際は、愚弄の対象としてニートがインターネットで話題になっていた時期であり(無論、無職という表面だけを捉えた一種のバッシングであるが)、結果として担任の“配慮”は逆に作用。良くあるパターン。
しかも住居が割れたため、そこに“母親にしては若すぎる謎の女”の目撃が絡む。
結果出来上がったのが。
養ってもらっているから物乞いと同じ。
そんな家の子だからろくな子じゃない。
女が不自然に若いから実の親ではなく、婚外子のもらわれっ子。
英語が堪能なのは、母親が外国人で、しかも日本に出てきて性的サービスを売り物にしていたから。
真由はその際の“失敗作”であり、親譲りの生まれついて病気持ち。
いかにもな設定のため、噂は既成事実化。
典型的な“エスカレート現象”だとレムリアは判じた。それは、“気に入らない”子を、攻撃の対象として正当化・理由付けするために、その子に不利になりそうな情報をあること無いことでっち上げ、拡大解釈して吹聴するものだ。
よくある“バイキン、汚い”はこの幼稚な例である。なお、この手のウソに性的な内容を含むのは近年の特徴と言えよう。性的な内容は被害者の傷つき方が尋常でないため、攻撃者のサディスティックなカタルシスをより強くする上に、被害者が恥ずかしくて口に出来ない……被害を訴えることが出来ず、陰惨を極める内容であるのに隠されやすいのである。
「お前、そういうのと違うな」
果たして真由はレムリアを見上げ、小さな笑みを浮かべ、涙を一筋流した。
(つづく)
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