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グッバイ・レッド・ブリック・ロード-24-

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 但しその涙は悲しみを意味しない。誰にも言えなかったことを、言っても解決しないからと心の奥にしまい込んでいたことを、洗いざらい喋って少しスッキリした、ということだろう。ストレスはその理解者が存在することで少し軽減される。受け入れられたという認識を得るからだ。ちなみに、“そういうの”とは、口先だけの同情者のこと。
「……ありがとう」
 レムリアは目を伏せて言った。少なくとも、自分を味方と感じてくれた、と解釈して良さそうだ。
 すると真由はもう少し表情を緩めて。
「自分みたいなのでも認めてくれるヤツがいるなんてね。……あーあ、でも困ったぞ。月曜学校行ったら何がどうなっているやら。お前のせいだ」
 冗談めかして言ったその真意は、持ち物が荒らされたり、更にあること無いこと吹聴される、メールでばらまかれるといった心配、と、レムリアは理解した。ちなみに、そういう仕返しをされるから、尚のこと他人に言えないという事情が、この問題の背後には常時存在する。だから、盤石のバックアップが保証されない限り、被害者である子ども達は口を開かない。勇気を出してと言われてもひとりで抱え込むのはこのため。逆に言うと、そんな子達が真実を口にするかどうかは、尋ねる者を信頼しているかどうかを現すバロメータである。
「行くことないよ」
 レムリアはあっさり言った。
「わざわざ傷つけられに行く必要なんかない。極端な話、勉強なんて後からどうにでもなる。現に金曜の昼下がりに9千キロの彼方でのんきに焼き物探している大タワケがここにいるわけで。必要なら私からお父様と……」
「あの女には何も言うな!」
 真由は突如きつい口調でレムリアの声を遮った。
 その声音はナイフさながら。それも肉を骨からそぎ落とす、狩猟用の荒さ鋭さ。
 
(つづく)

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