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グッバイ・レッド・ブリック・ロード-29-

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「あ……あなたねぇ!」
 先にトサカに来たのは麻子の方。
「確かに助けて頂きましたよ。でもだからって幾ら何でも失礼じゃなくて?」
「しろとは言いませんが、礼も言わず私の作品ドデスカと問う方もどうかしてると思いますけどね。ましてや自分の娘が帰宅したのに無視ですか。彼女息が弾んでましたよね。それって麻子さんの連絡に慌てて戻ったってことですよね。親子とて礼節はあるはず。それなのに娘がアクセスしないからってだんまりっていうのは、保護者の姿勢として如何なものかと」
 イヤな小娘だなぁと自覚しつつ。しかし子どもの立場として筋は通っているはず。
「そうだな」
 ポソッと、呟くように言ったのは、父親の方。
 意外、と書くべきであろうか、老いたように上半身を丸め、布団の上に投げ出した手指を組む。
 この動きは麻子の怒気を奪い取ったようである。表情から諦念を感じ取ったとしても仕方あるまい。疲労の蓄積もあろうが、その位、父親の顔は憔悴と落胆に彩られている。
「あなたの言う通りだ……申し訳ない。まずは、助けて頂いてどうもありがとう。それから、娘を連れ帰ってくれたようで」
「あなたが心配でとりあえずそばにいよう、というだけかも知れませんけどね」
 レムリアは真由の今後の行動に対して伏線を張った。
 無論、その犯人は恐らく自分になるだろうという確信犯だが。
「シャンとしなさいよ」
 虚空を見つめる男の横顔に罵声を叩きつける。さながら叱りつける母親である。
 父親はハッとしたように身体をびくりと震わせ、レムリアを見た。
「あなたの頭の中は陶芸でいっぱい。子を守るべき親であるはずのあなたが、子供に学業以外の心配や心理的負担を背負わせてどうするんですか」
 この台詞には、言外に麻子に対する嫌味も含む。親がくっついたり離れたりするなど、子供にとって最悪の環境であるというのがレムリアの信念。
 
(つづく)

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