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グッバイ・レッド・ブリック・ロード-8-

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「ちょっと待ってね。お茶でも、えーと。メ……」
「あ、私インターネット上の通り名が“レムリア”なので、友人知人にはそう呼んでもらってます」
「れむりあ?」
「太古海中に没した幻想の大陸。その真相を知る者は現世一人して存在せず」
 女性の調子に合わせてこう言ってみる。雰囲気と場違いなのは否めないが、深刻で陰鬱よりは良いか。
「あらミステリアス」
 女性は微笑を浮かべて立ち上がり、窓際の流し台に向かった。
 その流し台の窓の向こう、小道から駆け込んでくるブレザーの制服。
 女の子。ぶつかるかの勢いで玄関ドアに到着し、ドアを開く。
「だ……」
 女の子は何か言おうとし、彼女……意を汲んでレムリアと書く……と、目を合わせ、押し黙った。
 “態度を硬化”と書けばよいか。女の子の表情が非常に硬く、防衛的、攻撃的に転化したのをレムリアは感じ取った。自分の周囲にバリアを張った、そんな感じか。
 きつい目線。眉間のしわ。更にそのしわに向かい、鋭い勾配を描き吊り上がる眉。風圧と感じるほどの拒絶感。
 年は近似と見る。離れていても1年。故の拒否であるとも知る。清楚で整った顔立ちの娘だが、そのはずだが、常時きつい目をしているせいか、顔面筋が緊張しているようで、少女のかわいらしさがスポイルされている。
 背は自分よりも高い。体格もそれなりで服の号数2つは違おうか。
「なんだお前」
 かくして開口一番、女の子はレムリアにそう言った。
 子供同士とはいえ、はなはだ失礼……一般観念としてはそうなろう。
 しかし、出会い頭の攻撃に、レムリアは別の要素を感じ取った。
 この攻撃は防衛のため。防衛の理由は傷付きたくないため。
 心が張った予防線。
「ちょっと真由(まゆ)さん失礼……」
「うるせぇよ!」
 
(つづく)

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