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グッバイ・レッド・ブリック・ロード-35-

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「親父が?」
 意外、という真由の表情。
「ああ、行っておいで。その方がいい」
 老師が目を細める。
「あいつも?」
 対し真由は眉根を曇らせて尋ねる。麻子も来るのか。
「気持ちは判るけど押さえて。あなたにとってお父様が唯一の身内であるように、お父様にとっても真に血のつながりを持っているのはあなただけなんだから。血のつながりこれ最強。ちょこっと協力。ね?行こ?」
 レムリアがウィンクして手を引っ張ると、真由は特段拒否する反応は見せない。
 


 
 とはいえ、麻子がいる前では、真由が心に壁を作るせいだろう。打ち解ける・和む系の雰囲気は望めなかった。電車を待つ海風のプラットホームで、ぎこちなく固い、沈黙の時間が過ぎて行く。頬を叩く晩秋の海風は冷たさを強調しこそすれ、逆はない。
 この状況良くはない。レムリアは話題はないかと考えた。見回すと、少し離れた所に著名なタイル工場。
「あの会社タイルで有名ですよね。ここが本拠なんですか?」
 レムリアは口にしてみた。
「ああ、この町で育った世界企業さ」
 父親が応じた。
 その目が輝く。好きなのだろう。しかも技術肌だとレムリアは感じた。東京の知り合いはエンジニアのタマゴな訳だが、同じ気配をこの父親にも感じる。
 だったら。
「タイルも陶器ですもんね。でもよく考えるとすごいですよね。数万、数百万単位の焼き物で質のバラツキがないって」
 この質問を発した根拠は、タマゴの彼のタマゴのゆえんが新入社員の研修生であり、製造ラインの実習について“一定のクオリティでモノを作るのは難しい”とぼやいていたからだ。
 自己満足でこと足りる趣味の1発製作と、安定して供給し続ける量産品では、おのずからアプローチが異なる。
 するとレムリアの発言に、父親はほう、という顔をして見せた。意表をついた言葉だったらしく、少しのけぞったようにも見えた。
 
(つづく)

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