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グッバイ・レッド・ブリック・ロード-38-

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 こうなると今度はこっちの方が可哀想な気がしてくる。人の気持ちとは、かくも難しき。
 かといって、この若い女にネタを振るとわざとらしくなり、余計に彼女を孤立させる結果になろう。よくある『この子も仲間に入れてあげて』というヤツだ。あのセリフは当該の子供に“お前仲間外れだね”と言外に認識を迫っているに等しい。
 父が娘に説明をしている間に電車が速度を落とし、ガタガタと転轍線路を渡ってホームに入る。
 終着駅、中部国際空港。
 ドアが開いて乗客が吐き出される。平日の夕刻故か、スーツ姿のビジネスマンが目に付くが、歩く速度が彼らと異なるアベックや、お喋りに忙しい女性同士も目に付く。この空港はアミューズメントの側面も持っており、中のレストラン街が目当ての人もかなり多いのだ。
「あの、私、先行って並んでますね」
 麻子はいたたまれない気持ちになったか、電車を降りるや走り出した。
 父親は見送るが、真由は見ようとしない。
「真由」
 父親が呼んだ。
「ん?」
「お前……」
「あの女のことなら何も訊かないでね。折角食べに出たんだから」
「申し訳ないな……」
 父の言に真由は立ち止まって見上げた。
「え?」
「お前の気持ちを無視して。最悪の親父だよオレは。許してくれとは言わないし、彼女を受け入れろとも言わない。ただ……」
「いいよ判ってるよ。邪魔はしないよ。あ、先行って。この看護婦お嬢に土産物探すから」
 真由は言うなり、レムリアの手を引っ張って走り出した。
 ……自分と話したいことがあるのだ、とレムリアはすぐに気付いた。
 空港グッズのショップ。
「ごめんないきなり。ちょっと二人きりになりたかった」
「いいよ。んで?」
「親父が謝った。びっくりした」
 真由は空港のイメージキャラクター“フー”のぬいぐるみで“バンザイ”の形を作った。
 
(つづく)

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