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グッバイ・レッド・ブリック・ロード-42-

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 閉じこめていた思いを、ほんの少し口にしてみた、真由の気持ちに。
 そして、父の無理解の壁のゆえに、再び少し後ろ向きにベクトルを返したのも判っている。……でもそれは真由がうつむく必要のない、男性特有の鈍感さのゆえ。
 だから、レムリアは真由の顔は見ず、ただそっと手を握る。
 真由は別段振り払おうともしない。ふたり手をつないで父親の後に付き、エスカレータを上がる。
 レストランフロア。
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 その賑やかしさと人の密度は思わず身がのけぞるほど。心持ち温度も高いようだ。加えて、フロアの設計モチーフは狭い路地の両側に店が建ち並ぶ……そんな昭和な町並み。時間的にどこの店にも行列が出来ている上、通路の狭さも手伝って、混雑感は相当なもの。行列を避けるためか、右往左往している人を見ると、飛ぶ前に食事したい人がちゃんと食べられるのか、余計な心配もしたくなる(店によっては搭乗客優先コーナーがある)。
 人混みをかき分け、エビフライで知られるその店へ。麻子は先頭から3番目の位置にいた。
 ふたりは、どちらからともなく握りあった手を離す。
 途端に空気が張りつめる。会話という雰囲気ではない。
 ぎこちない時間を避けるため、のっけから手品。となりが男の子を連れた家族連れで、いかにも待ち疲れた表情、ということもある。こんな場面にと東京に頼んで買いそろえてもらったミニカーを出したり消したり。
 1台あげる。男の子は大喜び。両親はペコペコ。
「不思議だ」
 真由はレムリアの手を取って見つめた。つないでいた手のひらに、数秒後にはパトカーが現れたのだ。“特殊能力”と言われてはいるが、実際の所どうなの?とは誰もが思うもの。
「本当に魔法だったり」
「企業秘密」
 レムリアは舌を出し、“手のひらを返し”、そして元に戻した。
 
(つづく)


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