グッバイ・レッド・ブリック・ロード-45-
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「付き合う相手に年上が多いもので。すっかり耳年増になりました」
「あら年上の彼氏がいるの?」
そーじゃねーだろ。
だが、“間”は持つのでネタには応じる。エビフライはまだですか?
「従兄のに~ちゃんみたいな人はいますけどね。彼氏かってぇと……あはは」
言うまでもなく東京の知り合いである。ちなみにセリフは誇張でも何でもなく、素直な気持ち。
「でも、“魂の味方”なんでしょ」
輝く瞳で覗き込んでくる。
麻子はミステリー系のドラマの見過ぎではないかとレムリアはふと思った。“探偵じみた才能を発揮するOL・雑誌記者”ってのが良くあるキャラクターとして存在するが、この誘導尋問に近い展開はそれを彷彿させる。
でも、悪いけど、セリフ回しほど軽薄じゃないんだ。
「ええそうです。彼は命がけで私を守ってくれたことすらあります。凍死しかけたり、腕を折ったり。あまつさえは、私のこの身体には、ひところ彼の血が輸血されて流れていました。それでも“友達だろ?”であっさり済ます男です」
軽みを示す麻子の顔に、レムリアはまばたきひとつせずそう返した。なお、彼女のセリフの「それでも」以下は演出のために付け加えたウソである。
「すごいねぇ。まるでマンガか小説みたい」
果たして麻子から返ってきたセリフはこうであった。似たことを真由にも喋ったわけだが、彼女と、この反応の違いは何だ。
心を、気持ちを軽んじられてる。レムリアが抱いた率直な感想がそれ。
初対面の自分がそうなのだ。毎日顔を合わせる真由はさぞや。
「君は、かなり修羅場をくぐってきたというか、過酷な経験をしてきたようだね」
(半ば呆れて)二の句が継げなくなったレムリアのあとを、父親が引き継いだ。
(つづく)
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