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グッバイ・レッド・ブリック・ロード-50-

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「その……姿消す、か?」
 レムリアは陰謀を思いついたようにニンマリ頷いた。
 状況を整理する。いじめ問題解決の糸口は、まず加害者側に自分たちの行為のおぞましさを理解させ、全て中止させることが一つ。その後もまだあるが、今は被害者側に注力しているので略す。
 一方被害者側には当座の隠れ家をまず確保し安心させる。その上で、当人の自信を回復させ、傷ついた尊厳の修復を図る。この作業により、自分の中で封じ込めていた感情を発露させる。これは同時に、隠蔽されていた事態を、被害者が自ら白日の下にさらけ出すことになる。いじめる側が増長する理由のひとつに、暴力を背景圧力とした事態の隠蔽があるので、その連鎖を止めるのだ。当然、それは被害者側には相当な勇気を要求する。勇気は尊厳を保ち充分な自信を有するココロのみが発揮できる。
 今現在、レムリアが試みているのは尊厳の回復である。これは根本的には“名ばかりの保護者”という実情を修復することである。すなわち、このギスギスした家族関係において、真由が父親からも、当然麻子からも、本来与えられるべき“家族としての愛情や思慮”を受けていないと判ってきた。その原因は二人とも目線のベクトルが真由に向いていない、向いていても表面だけ、という事が挙げられる。
 そこで父親は陶芸から離れさせた。その結果、真由に多少は目を向ける余裕が出てきたようではある。
 しかし麻子はそうではない。
 恐らく、麻子と真由は、一度互いの感情を全てぶつけ合う必要があるのであろう。本来求め合った仲ではないのだから。イヤでも一つ屋根の下で暮らすのであれば、相互理解は必須である。
 そうした状況において、今レムリアが提案したフェードアウト、すなわち夜遊びプチ家出は、当然の事ながら、オトナ二人の注目を、真由にのみ向けさせることになる。父親は陶芸どころではないし、麻子は麻子で真由が出て行った理由を考えざるを得ない。自分に原因の一端を帰すであろうし、最終的には真由の心理を“なぜ”という形で問う必要が、否応なしに出てくる。
 
(つづく)

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