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グッバイ・レッド・ブリック・ロード-52-

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 真由が写真パネルを見ながら指さし、レムリアを振り返る。
 それは壇上でレーザポインタを使い、大スクリーンの写真を説明している少女の写真である。ふわっと広がった白いワンピース姿であるが、背格好と顔立ちはレムリアにそっくりである。
“子ども達に特別講義のメディア・ボレアリス・アルフェラッツ王女殿下”
 写真の説明文を読み、真由の目が見開かれ、口元がわななき始める。
「お前……わぁお前なんて言っちゃいけない……」
「だから、偽名使ってるのあたし」
 レムリアは頭をぽりぽり掻いた。こんな形でバレるとは。
 真由が指をパチンと鳴らす。
「思い出した。そういえば聴講者募集って知らせが学校に……」
「そうそれ」
 レムリアはあっさり言った。
 欧州の小国アルフェラッツ王国。代々女系だが、現女王の一人娘が彼女、メディア・ボレアリス・アルフェラッツである。
 そういう血筋、日本語ペラペラ、ボランティアの医師団に加わって世界を飛び回る少女看護婦……いかにも誰もが興味を持ちそうな存在を“使える”と踏んだか否か。環境面・経済面で極限状態を見てきた彼女に対し、“世界の現実を日本の子ども達に是非”みたいな意図でオファーが来たのである。
「で、ちょっとお礼を言いたい方がいてね。帰りがてら常滑焼きでも探そう、それで来ましたですのよ」
 そう言うレムリアを真由は上から下までまじまじ見つめた。
「本物、なんだよなぁ」
「でも気にしないでね。これまで通りお前と呼んで」
 言ってちょっと吹きそうになる。まるで演歌の歌詞。
「え?それはさすがに……どうしよう」
「んじゃ東京からのコールサインはレムリア。東京と行動する時の偽名は姫子」
「レムリアって……幻の大陸?」
「そう、幻の存在ということで」
 
(つづく)

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