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グッバイ・レッド・ブリック・ロード-60-

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「あなたが全てを抱え込んでいたのは、お父さんに迷惑を掛けたくないと思ったから。あなたが感じていたのは、あの人の耳あたりの良い言葉に隠された棘。そしてそもそも、学校で受けている、あなたに対する故無き拒絶。
 でも本当のあなたは、親思いで、まじめで、一生懸命で、そして私を助けるために、勇気を奮ってくれた、素敵な女の子。
 なのに、なぜ、見えない檻があなたを閉じこめる。あなたの気持ちを、あなたの心を、誰が受け止める。
 痛かった。そのまま帰るなんて出来なかった。だから、あなたを檻から盗み出すことに決めた。私は今夜、あなたと空を飛びたい。一緒に空を飛んで流れ星を眺めたい。
 あなたの中に、私の居場所を認めてくれるなら」
 レムリアは、自分の見知った真由という娘について、そう話した。
 それはレムリアなりの一つの結論である。要するに、真由には彼女を認めてくれる存在がなかった、自分の心の居場所がなかったのだ。
 『言っても無駄』……いじめの被害に遭っている子ども達が良く口にするこの言葉は、そうした状態を自己認識している表れである。理解者も、味方もいない、そういう意味だ。本来、親や教員は、子供にそんなことを言われた自分たちを恥じるべきであろう。
 真由の目に輝きが浮かび、真由は隠すようにそれを拭った。
「何やってもスッキリしなかった。何やってもひとりぼっちな気がした。でも、レムリアといるのは楽しいと思った」
「友達だもん」
 レムリアは言った。
「友……」
「楽しいと思ってもらわなくちゃ、友達である意味ないじゃん」
 レムリアは言った。そして。
「私で良ければ」
 真由に向かって手を伸ばす。
「夜遊びの続き」
 真由は笑みを見せ、手を伸ばし、レムリアの手を握り返した。
 
(つづく)

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