2023年9月
          1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30

最近のトラックバック

めーるぼっくす

無料ブログはココログ

« グッバイ・レッド・ブリック・ロード-61- | トップページ | グッバイ・レッド・ブリック・ロード-63- »

グッバイ・レッド・ブリック・ロード-62-

←前へ次へ→
 
「PSC(ぴーえすしー)を使いますか?」
 セレネが耳栓様の小さな機械を2個出し、レムリアに訊いた。PSCとは意識で直接船をコントロールするシステム。Psychology-direct-reflection Synchronization Control-unit。心理同期制御とでも訳すか。
 レムリアはその機械を手に取り、一つを自分の耳に押し込み、
「いえ、通常ルーチンで。私たちは甲板にいます。INS(いんす)のシールドをタイプ2で」
「了解しました。真由さん、素敵な夜空の旅を」
 セレネが言い、二人に背を向け、アルフォンススと共に船尾方へ去る。INSとはInertia Neutralization System。慣性力中和装置。つまり、クルマや列車が急加速・減速を行った時に身体が受ける、あのぐらっとよろける力“G”を相殺する。原理と仕組みは略す。
「本当に映画みたい」
 SF用語を当たり前のように交わす二人のやりとりに真由は瞠目した。
「しょっちゅう乗ってるとハリウッドの特撮なんかチャチだよ。はいこれ耳に。無線通信機にもなってるから。こちらへどうぞ」
 レムリアは真由の手を取り船首方向へ招き、通路を開き、階段を数段昇って甲板へ出た。
 一見すると古風な帆船である。しかし木製に見える板材は“カーボンナノチューブ”である。また、帆柱に折りたたまれた帆の如き、しかし工業製品を思わせる白い板の正体は、恒星からの粒子流を受け推力とする補助動力機関ソーラーセイルである。つまりこの船は恒星からの風を受け、星の海を行く。
 その星の海を真由が見上げる。
「……嘘みたい」
「レムリアです。甲板へ出ました。準備OKです。発進願います」
 
(つづく)

« グッバイ・レッド・ブリック・ロード-61- | トップページ | グッバイ・レッド・ブリック・ロード-63- »

小説」カテゴリの記事

小説・魔法少女レムリアシリーズ」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: グッバイ・レッド・ブリック・ロード-62-:

« グッバイ・レッド・ブリック・ロード-61- | トップページ | グッバイ・レッド・ブリック・ロード-63- »