« グッバイ・レッド・ブリック・ロード-62- | トップページ | グッバイ・レッド・ブリック・ロード-64- »

グッバイ・レッド・ブリック・ロード-63-

←前へ次へ→
 
 レムリアは言った。耳栓機械から聞こえた音が大きかったか、真由がびくっと身体を震わせた。ちなみに音量はPSCが脳波の応答を見ながら自動制御する。
「動くよ」
 レムリアは真由に言った。程なく、薄い金色の膜のようなものが、両舷から現れて立ち上がり、二人の頭上をスクリーンのように覆って行き、卵の薄皮のように船全体を包む。
 船が、ゆらりと動く。
 浮上する。よろめく真由の手をレムリアは掴む。降りてきた時と同じ暴風が生じ、商店街のあれやこれやがバタバタ暴れる。
 離着陸時は空気圧を用いる。それに伴う暴風である。
 船が垂直に高度を上げて行く、見慣れぬ目線となり、店々の屋根が見え、遠く見通せるようになり、夜景の向こうに周囲の街々が光の島となって浮かぶ。
 “セラモール”全体を見下ろす高度。
 そして。
 


 
「INSタイプ2作動確認。発進許可」
 レムリアの喚呼(声に出して確認すること)より程なく、見えていた光の島々が、さながらカメラブレでも起こしたようにブレて見え出し、次いでその場から引き抜かれたように光のラインを描き、後方へ流れ去る。
 発進加速である。本来なら伴って身体に感じる力は相殺されているため、“体感的加速感”は皆無。
 上昇がかかり、船首が夜空に向かい、街灯りに慣れた視界は闇に閉ざされる。やがてその闇に目が慣れてくると、瞳がまず捉えたのは、宝石のような輝きを放つ5~6の星の小さな塊。
「すばる……」
 レムリアは呟いた。そしてその“すばる”……プレアデス星団が、まるで船に進路を譲るかのようにすーっと高度を上げ、頭上へと動いて行く。
 星が動くのが目で見て判る。
 それは、この船が、地球自転を遥かに上回る速度で東方へ向け飛行していることを示す。
 
(つづく)

|

« グッバイ・レッド・ブリック・ロード-62- | トップページ | グッバイ・レッド・ブリック・ロード-64- »

小説」カテゴリの記事

小説・魔法少女レムリアシリーズ」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: グッバイ・レッド・ブリック・ロード-63-:

« グッバイ・レッド・ブリック・ロード-62- | トップページ | グッバイ・レッド・ブリック・ロード-64- »