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グッバイ・レッド・ブリック・ロード-64-

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 更に目が慣れ、見える星が増加する。増加に従い視界は無数の煌めきで埋め尽くされ、天蓋全体が輝く巨大な機械と化して頭上を巡る。その姿は、まるで大昔の円盤式オルゴールが、照明を反射しながら回転しているかのようだ。ちなみに今は晩秋なので拝むことは出来ないが、これが7月期になると、視界の端から端まで天の川が横切るため、船の動きによって巨大な時計の文字盤がぐるりと動くかのように見え、ダイナミックそのものだ。
「プラネタリウムみたい」
 真由が呟く。その瞳にも天蓋を埋め尽くす無数の煌めきが映っている。つづみ型の星の配列が目立つ巨人オリオンが水平線近くを闊歩。日本で見える高度より低いのは、船が北方へ向かっていることを示す。別段神話丸暗記の星空ロマンチスト気取る気はないが、こう幾度となく夜空を飛ぶと、見慣れた天体や星座も幾つか出てくるし、高度や傾きで緯度経度大体の予測が付けられるようになる。
「わぁ……」
 ため息にも似た声で真由が言い、彼女が指さした東方、カーテンが開くように空が青みがかり始める。
 朝間~昼間帯の地域へと船が進行したためである。
 視界下方が漆黒の海より陸域へ変わる。
 夜が明ける。空の色が漆黒から群青、ブルーから紫、赤、黄色へとめまぐるしく変化し、太陽を戴いて透明へ変わって、昼間の空に落ち着く。
 下方に見えるのは森林と、その森林をナイフで傷つけたように貫く幾筋かの道。そして、所々に見える茶色のゴチャゴチャした領域は町であろうか。今、船の高度は国際航空路を遥かに上回る20キロほどに取っている。
「北アメリカ大陸。アメリカとカナダの国境付近」
 レムリアは言った。
「アメリカ?」
 真由が瞠目する。
「もうアメリカ?」
 
(つづく)

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