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グッバイ・レッド・ブリック・ロード-74-

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 レムリアは左舷の船縁に向け指をパチンと鳴らす。船縁の柵が一部パタンと倒れ、ストレッチャーが段差無く甲板に乗り入れ可能となる。
 合わせて大男二人が女性を甲板から持ち上げる。二人の体格・体力からして、いわゆる“お姫様抱っこ”は充分可能なのだが、女性の身体を水平に保つためこのように二人がかり。
 女性の身体がストレッチャーへ載せられた。
「“ヒギヌス”、“ガッセンティ”。Drowned, heart stops. no breathing, no reaction of eyes. Open chest massage」
 白衣の二人にレムリアが伝達。
「OK」
 白衣の二人が答え、ストレッチャーを彼らに託す。
 レムリアは送り出すに際して横たわる女性の手を握り、小さく笑みを作ると、その手を真由にも触れさせた。
「さっきと比べてどう?」
 真由がはっと目を見開く。
「あたたかい」
「その通り。この人は助かるでしょう」
 レムリアは言った。それを聞いた真由に小さな笑み。
 握った手を離し、ストレッチャーが昇降装置に乗って降りて行く。
「ミッション・コンプリート」
 レムリアは言った。
「さ、散歩に戻ろ」
 振り返り真由に言う。
 思い切りの笑顔で。
「う、うん」
 戸惑いがちに真由が頷く。船は再び薄皮のような膜に包まれ、医療センターを飛び上がる。
「じゃぁ邪魔しないようにゴツくてデカいゴロゴロしたのは引っ込むぜ」
 アリスタルコスが言った。
「その筋では失礼いたしまして。ああ真由ちゃんあなたに紹介してなかったね。ウチのファランクス」
 レムリアは今更ながらであるが、大男な双子兄弟を彼女に引き合わせた。ちなみに両者身長2メートル体重100キロ。レムリアの言った“ファランクス”とは古代ローマの重装歩兵のことだが、さもありなんと言うべきか。
 
(つづく)

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