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グッバイ・レッド・ブリック・ロード-75-

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「ごゆっくり、真由姫様」
 ラングレヌスが跪き、大柄ゆえの低い声で言い、真由の手のひらにそっと口づけ。
「ど、どうも……」
 騎士の流儀に照れたか、頬染める真由にラングレヌスはフッと笑顔を見せ、アリスタルコスと共に甲板から下がった。その間に、船はロシアから北極海へ出、再び夜のエリアへ進行。
 天空には薄墨のような冬季の天の川が姿を見せ、水平から垂直へと立ち上がって行く。その天の川両岸には幾つかの一等星が姿を見せており、埋め尽くす星くずの中で、その輝きは光というより、見守る者の強い眼差し。
 そして、そんな一等星の一つ、おうし座アルデバランを追って再びのすばる。つまり。
「世界一周……」
「したよ」
「嘘みたい……」
 真由が天からの眼差しをその瞳で受け止めながら、ため息混じりに呟いた。
「あのさ」
「ん?」
「世界一周って大きなスケールみたいに思えるけど、こうして飛んでみると、大きな地球も宇宙の中では小さな、本当に小さな水と緑なんだね。朝露に濡れた道ばたの草と同じで、踏みつぶしてしまうのは、多分一瞬。でも……」
「少し離れてこの星を見れば、永遠に等しい時間で宇宙が作った、丸い小さなビオトープ」
 レムリアはそれだけ言った。
 船が真東に進路を向ける。
 と、頭の上を光の筋が一本、残像を描いて西へ流れた。
「始まったかな?」
 レムリアは呟く。
「え?」
「しし座流星群」
 正面には“?”の字を左右逆さにした星の並びが目印、天駆けるライオン。
 その逆ハテナを中心にひとつ、またひとつと、花火でも打ち上がるように光の筋が飛ぶ。
「これが流れ星?」
「そう」
「初めて見たかも」
 真由が呟き、流星が流れるたびに顔を振ってその軌跡を追う。しし群の流星は流れた軌道に沿って煙のような痕跡(流星痕という)を残すものが多く、それが、余韻のような雰囲気を見る者に与える。
 
(つづく)

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